Cambria (フォント)

Cambria（カンブリア）とは

Cambriaは、マイクロソフトがWindowsとOffice製品のために開発したセリフ体フォントです。2004年にオランダの書体デザイナー、ジェル・ボスマによってデザインされ、スティーブ・マテソンとロビン・ニコラスが入力作業をサポートしました。このフォントは、本文テキストに適したセリフ書体として設計されており、小さなサイズや低解像度の画面でも非常に読みやすいのが特徴です。文字と空白のバランスが均等で、ClearTypeフォントの一部としてWindows Vistaで初めてリリースされました。

デザインの特徴

Cambriaのデザインは、対角線と垂直のヘアラインが比較的強く、水平のセリフは控えめです。これにより、文字の終端を強調する効果があり、特にイタリック体で顕著です。ボスマは、このフォントを「伝統的なスラブセリフ体との組み合わせ」と表現しており、垂直方向のセリフとヘアラインのコントラストが、小さなサイズでも文字の形状を保つ役割を果たしています。

画面上でのレンダリングを考慮し、濃淡のムラを調整してありますが、印刷文書での使用には、デザイナーによっては単調すぎると感じる場合もあります。ボスマ自身は、このフォントを「古い金属活字のようなもの」と表現し、小さなサイズでの使用を想定してデザインされたが、大きなサイズで使用しても問題ないとしています。

また、Cambriaにはライニング数字とテキスト数字の両方が用意されており、サンプル画像ではライニング数字が初期設定で表示されます。

Cambria Math（カンブリア・マス）

Cambria Mathは、数式や化学式などのテキストのために設計されたCambriaの派生フォントです。TeXに触発されたOpenType-Math拡張を実装した最初のフォントで、タイムズ・ニュー・ローマンの後継として開発されました。開発はジェル・ボスマとロス・ミルズによって進められ、3段階の工程を経て完成しました。

利用と配布

Cambriaは、Windows Vista以降のすべてのWindowsバージョン、Microsoft Office 2007以降のすべてのMicrosoft Officeバージョン、Mac用Microsoft Office 2008、およびMicrosoft Office 2007ビューア＆コンバータに同梱されています。CambriaとCambria Mathは、通常TrueTypeコレクション（TTC）ファイルとしてパッケージ化されていますが、Mac版では個別のTrueTypeフォント（TTF）ファイルとして提供されています。これは、OMMLがMac版でサポートされていないためです。

また、Calibri、Candara、Consolas、Corbel、Constantiaなどのフォントとともに、Microsoft Excelビューア、Microsoft PowerPointビューア、Windows用のMicrosoft Office互換機能パック、そしてMac用のOpen XMLファイルフォーマットコンバータにも含まれています。ただし、GNUやLinuxなどの他のオペレーティングシステムでは、このフォントをフリーウェアとして使用することはできません。

Caladea（カラデア）

Googleは2013年に、Chromeの一部としてライセンスフリーのCaladeaフォントを公開しました。これは、Cambriaとメトリック互換があり、文書内でレイアウトを変更せずに置き換えることが可能です。アルゼンチンの字体製造社Huerta Tipográficaによって開発されたCamboフォントをベースにしています。CaladeaはCambriaと互換性がありますが、対応言語範囲が狭く、キリル[[文字]]やギリシャ文字をサポートしておらず、高度なタイポグラフィ機能も備えていません。

用途

Cambria Mathは、Microsoft Office 2007以降でOffice MathMLの数式を表示するために使用されます。また、フリーの組版システムXeTeXとLuaTeXでは、伝統的なTeX 数式フォントの代わりとして直接利用できます。Cambriaは、GoogleのウェブアプリケーションであるGoogle Drive Suiteでも使用可能です。

さらに、多くの文書作成アプリケーションで初期設定フォントとして採用されています。