Cdrkit

cdrkitとは

cdrkitは、Unix系オペレーティングシステムにおいて、CDやDVDのオーサリングを行うためのコンピュータプログラム群です。このツールキットは、Debianプロジェクトによるcdrtoolsのフォークとして生まれました。cdrkitは、GNU General Public Licenseバージョン2のもとでライセンスされており、多くのLinuxディストリビューション（Fedora、Gentoo Linux、Mandriva Linux、openSUSE、Ubuntu、Arch Linuxなど）やFreeBSDに採用されています。プロジェクトのリーダー兼リリースマネージャーは、Joerg Jaspertが務めています。

主要コンポーネント

cdrkitは、以下の主要なコンポーネントで構成されています。

wodim (write optical disk mediaの頭字語): cdrtoolsのcdrecordをフォークしたもので、光学メディアへの書き込みを行うプログラムです。
icedax (incredible digital audio extractorの頭字語): cdrtoolsのcdda2wavをフォークしたもので、音楽CDからデジタル音声データを抽出するツールです。
genisoimage (generate ISO imageの省略語): cdrtoolsのmkisofsをフォークしたもので、ISOイメージファイルを生成するツールです。

フロントエンド

多くのソフトウェアがcdrkitをバックエンドとして利用しています。cdrkitは、少なくとも近い将来、cdrtoolsバージョン2.01.01a08とのインターフェース互換性を維持する予定です。そのため、Brasero（GNOMEデスクトップの標準CD/DVDアプリケーション）、K3b（KDEデスクトップの標準アプリケーション）、X-CD-Roast（Xアプリケーション）など、多くのフロントエンドプログラムがcdrkitを利用しています。

フォークの経緯

2006年、ライセンスに関する論争が発端となり、Debianのcdrtoolsパッケージメンテナーは、cdrtoolsをcdrkitとしてフォークしました。

cdrtoolsのオリジナル開発者であるイェルク・シリング（Jörg Schilling）は、cdrtoolsのライセンスをCommon Development and Distribution License (CDDL) に変更し、新しいビルドシステムを採用しました。その後、主要なコード（光学メディア書き込みツールcdrecordとSCSIライブラリ）のライセンスもCDDLに変更しました。Debianはこのライセンス変更が、バイナリ形式でのソフトウェア配布において問題を引き起こす可能性があると主張しました。GPLは、GPLと互換性のない制限を持つライセンスのコードと、GPLコードを一緒にパッケージ化することを認めていないため、Debianはcdrtoolsを配布できなくなりました。

Debianの開発者ドン・アームストロング（Don Armstrong）は、デュアルライセンスが解決策の一つであると示唆しましたが、イェルク・シュリンクはライセンスに問題はなく、オープンソースの定義パラグラフ9を参照すれば理解できると反論しました。彼は、cdrtoolsの各コードは独立して動作しており、ライセンス変更は認められないと主張しました。この状況に対し、Debianの開発者は、GPLからライセンスが変更される直前のcdrtoolsのソースコードを入手し、ツール名を変更した上で、cdrkitとしてGPLのもとで公開しました。

イェルク・シュリンクは、自身のウェブサイトで、このライセンス問題は、UTF-8サポートをmkisofsに組み込むパッチを却下したことに対する不満が原因であると主張し、フォークはcdrtoolsプロジェクトへの攻撃であると非難しました。彼によれば、DebianのフォークこそがGPLと著作権に違反しており、著作者の許可なくオリジナルプログラムを使用しているため、Debianはcdrkitを法的に配布できないと主張しています。さらに、cdrkitには最新のcdrtoolsにはないバグが存在し、例えばDVD+R DLディスクを正常に作成できないといった問題があると指摘しています。

wodimとcdrecordの違い

イェルク・シュリンクはcdrkitがフォークされた後も、cdrtoolsのアップデートを継続しています。2011年5月時点での最新版は同年4月にリリースされ、cdrecordプログラムのバージョンは3.01a04です。一方、cdrkitはcdrtoolsバージョン2.01.01a08（2004年9月9日リリース）をベースとしており、wodimプログラムの最新版は2011年春の時点ではRed Hat Enterprise Linuxバージョン6の1.19（2008年10月26日のタイムスタンプ）となっています。cdrecordはBlu-ray機器や全てのCD/DVDメディアに対応し、ロケールサポートも提供しています。

関連情報

cdrtools: cdrkitの元となったプロジェクトです。
cdrskin: cdrtoolsの代替となるツールの一つです。
dvd+rw-tools: DVD+RWメディアを扱うためのツールです。
K3b: KDEデスクトップ環境向けのCD/DVDオーサリングフロントエンドです。
X-CD-Roast: X Window System向けのCDオーサリングフロントエンドです。

外部リンク

公式ウェブサイト
cdrkit (fork of cdrtools) uploaded to Debian, please test uploaded to Debian, please test) (フォークのアナウンス)
* Cdrtools - why do Linux distributions create bad forks? - cdrtoolsの作者イェルク・シュリンク（Jörg Schilling）が名前を出すこと無くcdrkitについて語っている評論

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