Crew Dragon Demo-2

Crew Dragon Demo-2：民間宇宙開発の幕開け

Crew Dragon Demo-2（クルーDemo-2、SpaceX Demo-2、Dragon Crew Demo-2とも呼ばれる）は、2020年5月30日に打ち上げられた、スペースX社のクルードラゴン宇宙船による歴史的な有人試験飛行ミッションです。

このミッションは、アメリカ航空宇宙局 (NASA) の商業乗員輸送開発 (CCDev) プログラムの一環として実施され、民間企業が開発した宇宙船としては初の有人宇宙飛行となりました。2名の宇宙飛行士を乗せたクルードラゴン宇宙船は、国際宇宙ステーション (ISS) へのドッキングに成功し、宇宙開発の新たな時代を切り開きました。

ミッションの概要

Demo-2は、2011年のスペースシャトル最終ミッション (STS-135) 以来、アメリカからの有人宇宙飛行としては初の快挙であり、民間企業による史上初の有人宇宙飛行という偉業を成し遂げました。船長を務めたのはNASAのダグラス・ハーリー宇宙飛行士、そしてロバート・ベンケン宇宙飛行士が共同運用責任者として搭乗し、ISSへと向かいました（2名での有人飛行は、アメリカでは1982年のSTS-4以来の出来事でした）。

宇宙船は5月31日14時16分 (UTC) にISSにドッキングし、14時27分には完全に固定されました。当初、打ち上げは5月27日に予定されていましたが、熱帯低気圧の影響による悪天候のため、打ち上げ17分前に延期されました。

ISS滞在中、宇宙飛行士たちはISSのバッテリー交換作業などを行い、合計4回の船外活動を実施しました。62日間のミッションを終えたクルードラゴン宇宙船は、オーストラリア付近上空でISSからアンドッキングし、メキシコ湾フロリダ半島沖への帰還を果たしました。

クルードラゴン宇宙船とファルコン9ロケットは、どちらも再使用可能な設計となっていますが、Demo-2においては、安全性を考慮し、いずれも新造された機体が使用されました。スペースXは、3回目のISS有人ミッションとなるCrew-2からは、再使用した機体を使用する可能性を示唆しており、NASAもこれを許可しています。Crew-2は2021年に打ち上げられ、Crew-1は2020年10月23日に打ち上げられました。

ミッションの意義

Crew Dragon Demo-2の成功は、以下の点で大きな意義を持ちます。

アメリカの有人宇宙飛行能力の回復: スペースシャトル退役後、アメリカは自力での有人宇宙飛行能力を失っていましたが、Demo-2の成功により、再びその能力を取り戻しました。
民間宇宙開発の進展: 民間企業であるスペースXが有人宇宙飛行を成功させたことは、宇宙開発における民間企業の役割が拡大していくことを示しています。
ISSへのアクセス手段の多様化: クルードラゴン宇宙船の運用開始により、ISSへのアクセス手段が多様化し、宇宙ステーションの利用がより容易になりました。

Crew Dragon Demo-2は、宇宙開発の歴史における重要なマイルストーンであり、今後の宇宙探査ミッションに大きな影響を与えることが期待されています。


関連情報
ドラゴン2
商業乗員輸送開発
Crew Dragon Demo-1
スペースX Crew-1

外部リンク
JAXA宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター - 米国商業有人宇宙船 クルードラゴン 有人試験飛行 (Demo-2) ミッション
Crew Demo 2 打ち上げ - YouTube
Crew Demo 2 飛行 - YouTube
* Crew Demo 2 ドッキング - YouTube

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