CryoSat-2

CryoSat-2：極地の氷を観測する欧州宇宙機関の地球観測衛星

CryoSat-2は、[欧州宇宙機関]が運用する地球観測衛星であり、特に極地の氷の観測に焦点を当てています。この衛星は、地球温暖化がもたらす極地の氷の変化を詳細に調査し、その現状把握と将来予測のためのデータ収集を目的としています。

概要

CryoSat-2は、ESAの地球環境研究計画「Living Planet Programme」における重要なミッションの一つです。当初、2005年に打ち上げられたCryoSatがロケットの不具合で失われたため、その代替機として開発されました。CryoSat-2は、2010年4月8日にドニエプルロケットによってバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、計画通りの軌道に投入されました。

主な観測機器は、干渉合成開口レーダー高度計(SIRAL-2)であり、これを用いて氷床や海氷の厚さと分布を計測します。この観測データは、極地の氷の季節変化や経年変化を高い精度で捉えることを可能にし、地球温暖化の影響を評価する上で重要な役割を果たします。また、衛星の位置と姿勢を精密に把握するために、DORIS衛星測位システム受信機、リトロリフレクター（レーザー反射器）、そして3つのスタートラッカーも搭載されています。

CryoSat-2は、初代CryoSatの設計をベースにしつつ、いくつかの改良が加えられています。具体的には、SIRALシステムの冗長性の確保、太陽電池パネルとバッテリーの増設、そして放熱パネルの追加などが行われています。

観測プランの立案はイタリアの欧州宇宙研究所(ESRIN)が担当し、衛星の運用はドイツの[欧州宇宙運用センター]が担当しています。観測データは、1日に11回、CryoSat-2が上空を通過する際にスウェーデンのキルナ地上局にダウンリンクされ、その後、フランスのトゥールーズ宇宙センターに転送されて記録・保管されます。

観測機器

干渉合成開口レーダー高度計 SIRAL-2 (Synthetic Aperture Interferometric Radar Altimeter - 2)

SIRAL-2は、Kuバンド（13.575GHz）のマイクロ波を使用して、氷の高さと分布を計測するレーダー高度計です。この装置は、1.2m×1.1mの楕円形開口面を持つ2基のカセグレンアンテナを搭載しており、LRM（低解像度）モード、SARモード、SAR干渉モードの3つの観測モードを切り替えることができます。特にSAR干渉モードでは、2つのアンテナが1.2mの基線長を持つ干渉計を構成し、より精密な観測を可能にします。衛星の進行方向における水平分解能は250mであり、海氷の厚み測定精度は、300km四方の平均値として年間1.6cmの変化を検出できます。SIRAL-2の装置重量は70kgであり、タレス・アレーニア・スペースによって設計・製造されました。

関連事項

地球温暖化
海面上昇
合成開口レーダー
DORIS (衛星測位システム)

参考文献・外部リンク

CryoSat-2 ESA公式ホームページ
eoPortal Directory

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