D級駆逐艦 (初代)

D級駆逐艦

D級駆逐艦は、イギリス海軍が19世紀末から20世紀初頭にかけて整備した水雷艇駆逐艦（TBD）の一艦級です。この艦級は、当初の艦種整理において30ノッター型駆逐艦として建造された艦艇のうち、2本の煙突を持つものが1913年に再編され、D級として分類されたものです。

来歴

19世紀末、フランス海軍が水雷艇戦力を強化する動きに対抗するため、イギリス海軍は水雷艇を撃退する能力を持つ駆逐艦の整備を始めました。これが水雷艇駆逐艦（TBD）です。初期の艦は27ノットの速力を達成し、この成功を受けて、1894年度計画から更なる速力向上を目指した30ノッター型が開発されました。

30ノッター型は1903年までに74隻が建造されましたが、1913年の艦級再編に伴い、そのうち2本煙突の艦がD級として再分類されました。この再編は、艦種をアルファベット順に整理する目的で行われました。

設計

D級駆逐艦は、同時期に再分類されたB級やC級とは異なり、全艦がソーニクロフト社で建造されたため、艦型はほぼ統一されています。基本設計は、先行する27ノッター型（後のA級）と同様に、水雷艇を強化・拡大したもので、敵からの発見を遅らせるため、乾舷の低い平甲板型を採用しています。また、波浪による影響を軽減するため、艦首には亀甲型（タートルバック）構造が採用され、フレアが設けられています。艦の形状は、吃水線付近が最も幅広く、乾舷は内側に傾斜するタンブルホーム様式となっています。

船体構造としては、艦尾艦底部にはプロペラ先端を収めるための凹みが設けられています。

ボイラーは、B・C級が4缶搭載していたのに対し、D級はソーニクロフト式石炭専焼水管ボイラーを3缶搭載しています。煙突は、1・2番缶の間に第1煙突、3番缶の後端に第2煙突が配置されました。蒸気性状は、圧力220–250 lbf/in2 (15–18 kgf/cm2)、飽和温度でした。主機関は、ソーニクロフト製の3段膨張4気筒レシプロ蒸気機関で、B・C級の2軸推進に対し、D級は3基の主機関による2軸推進となっています。機関出力は5,700馬力で、海上公試ではほぼすべての艦が30ノットの速力を達成しました。

装備

D級駆逐艦の装備は、先行する27ノッター型（A級）のものが踏襲されています。主武装は、水雷艇を撃退するための40口径7.6cm砲（QF 12ポンド砲）1基と、副砲として40口径5.7cm砲（QF 6ポンド砲）5基が搭載されています。主砲は、艦首甲板直後のプラットフォームに配置されています。

また、水雷艇と同様の雷撃任務も遂行するため、18インチ魚雷発射管2基も搭載されました。これらの装備は、水雷艇への攻撃と同時に、雷撃による敵艦攻撃能力も担保していました。

同型艦一覧

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参考文献

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