D-1 152mm榴弾砲

152mm榴弾砲M1943(D-1)とは

152mm榴弾砲M1943(D-1)（ロシア語: 152-мм гаубица образца 1943 года (Д-1)）は、ソビエト連邦が第二次世界大戦中の1943年に開発した榴弾砲です。

開発の背景

1942年、大祖国戦争の最中、ソ連軍は歩兵軍団直轄の砲兵連隊に、既存のM-30 122mm榴弾砲よりも強力な152mm榴弾砲の配備を決定しました。しかし、当時のソ連軍の152mm榴弾砲は旧式なものが多く、射程や機動力に課題がありました。

具体的には、第一次世界大戦期の物を改良したM1909/30やM1910/37、あるいは構造が複雑でコストがかさみ製造中止となったM-10(M1938)などが運用されていました。

そこで、M-30榴弾砲の砲架にM-10(M1938)の砲身を装着するという、既存の資産を有効活用する案が採用されました。M-10は元々師団砲兵向けに設計されたものの、ソ連軍の編成方針変更により軍団砲兵に配備されていたという経緯があります。

概要

D-1榴弾砲は、M-30の砲架にM-10の砲身を組み合わせたものです。M-30の砲架はM-10に比べて軽量であるため、射撃時の振動を抑えるために大型のマズルブレーキが装着されています。

D-1は1943年に制式採用されましたが、第二次大戦終結までに完成したのは数百門程度でした。これは、D-1採用の頃には戦局がソ連有利に傾いていたことなどが影響していると考えられます。ドイツ軍による鹵獲・運用例も確認されていません。

第二次大戦終結後、ソ連軍の師団砲兵は機械化が進展し、重砲を牽引可能な車両が普及したため、76.2mm野砲を廃止し、122mm榴弾砲と152mm榴弾砲を装備するようになりました。D-1はML-20 152mm榴弾砲やD-20 152mm榴弾砲と共に師団砲兵の主力として運用されました。

その後、2S3アカーツィヤ自走榴弾砲の登場により前線部隊からは退役しましたが、現在でも旧ソ連構成国の多くで予備兵器として保管されています。また、M-30と同様にワルシャワ条約機構加盟国や中東諸国、中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国などにも供与され、多くの戦争・紛争で使用されました。

中華人民共和国では、54式152mm榴弾砲として制式採用されています。

運用国

キルギス - 2023年時点で、キルギス陸軍が16門のD-1を保有

関連項目

M1 155mm榴弾砲
15cm sFH 18
九六式十五糎榴弾砲

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