DASH柳津

DASH柳津：地方競馬と中央競馬の競演、そして閉幕

広島県福山市に位置していた『DASH柳津』は、兵庫県競馬組合が運営する場外馬券発売所として、競馬ファンに親しまれていました。その歴史は、2004年11月に開設された福山競馬場の場外発売所『シャトル柳津』に遡ります。ゆめタウン松永というショッピングセンター内にオープンした『シャトル柳津』は、地域の競馬ファンにとって貴重な存在でした。

しかし、2013年3月、福山競馬場が廃止。その運命を分かつ出来事となりました。その後、兵庫県競馬組合が『シャトル柳津』の運営を引き継ぎ、『DASH柳津』として生まれ変わります。園田競馬場や姫路競馬場のレースを対象とした場外発売所として、新たなスタートを切りました。

2016年には、さらに大きな転換期が訪れます。日本中央競馬会（JRA）の場外発売所『J-PLACE柳津』として、中央競馬のレースも発売を開始したのです。これにより、『DASH柳津』は地方競馬と中央競馬の両方を扱う、多様なラインナップを揃えた場外発売所へと進化を遂げました。

『DASH柳津』のシステムには、特筆すべき点がありました。発券機は、福山場外時代から営業終了まで、日本トーター製が使用されていました。このため、富士通フロンテック製の発券機を使用する他の園田・姫路場外の発売所とは払戻の互換性がありませんでした。J-PLACEや他の場外発売所、さらには地方競馬の投票券でも、富士通・日本ベンダーネット製の発券機で購入したものは、本場に購入情報の照会が必要となるため、事前に問い合わせが必要だったのです。利用者にとっては、やや複雑なシステムだったと言えるでしょう。

『DASH柳津』の営業時間は、開催されるレースによって異なっていました。地方競馬では、昼間開催や園田ナイター開催の場合は10:00から、他場のナイター開催の場合は12:00から営業を開始。ナイターのみの開催の場合は14:00から開場していました。中央競馬では、9:30から営業を開始し、JRA全日程の全レースを発売していました。前日発売は原則として全G1レースでした。払戻は、開催日の営業時間内に行われていました。

しかし、2021年3月21日、一つの時代が幕を閉じます。入居していたゆめタウン松永が閉店することになり、『DASH柳津』も同日に営業を終了しました。長年にわたり、多くの競馬ファンに利用されてきた『DASH柳津』の閉鎖は、地域競馬ファンにとって大きな損失となりました。その歴史と特徴は、多くの競馬ファンの記憶に刻まれています。

『DASH柳津』は、福山競馬場の歴史、そして地方競馬と中央競馬の垣根を越えた展開の象徴として、長く語り継がれる場外発売所と言えるでしょう。その存在は、競馬文化を支える重要な要素の一つであったことは間違いありません。

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