DMG MORI Digital

DMG MORI Digital株式会社

DMG MORI Digital株式会社は、北海道札幌市に本社を構えるコンピュータ関連企業です。その起源は、1970年代後半に札幌で生まれた革新的な技術開発の潮流にあります。

創業とルーツ

同社の前身である「ビー・ユー・ジー（B.U.G）」は、1977年に個人経営のソフトハウスとして産声を上げました。これは、北海道大学の学生だった服部裕之氏、村田利文氏、若生英雅氏、木村真氏の4人が中心となり、青木由直氏が主宰していた北海道マイクロコンピュータ研究会での活動から生まれたものです。その後、彼らの共同出資によって1980年に株式会社ビー・ユー・ジーとして正式に設立されました。社名の「ビー・ユー・ジー」は、コンピュータプログラムの誤りを意味する「バグ（Bug）」から採られており、「ミスのない完璧なものづくりを目指す」という、創業者の強い自戒と品質へのこだわりが込められていました。

サッポロバレー形成への貢献

ビー・ユー・ジーは、後にJR札幌駅周辺にIT企業が集積し、「サッポロバレー」と呼ばれるようになる地域において、その形成と発展に大きく貢献した企業のひとつです。ゲームソフト開発で一世を風靡したハドソンなどとともに、札幌が日本のIT産業の一大拠点となる基礎を築きました。創業のきっかけとなった研究会を設立した青木由直氏は、このサッポロバレーの発展への功績が評価され、情報処理学会フェローの称号を授与されています。

高い技術力と革新的な実績

創業当初からビー・ユー・ジーは、その卓越した技術力で業界内外に知られていました。数々の革新的な製品やシステム開発に携わっています。

ハードウェア制御・OS関連: ソニーの8ビットパソコン「SMC-70」向けのモニタプログラムやBASICインタープリタの開発を受託するなど、ハードウェアに近い低レイヤーでの開発能力を発揮しました。また、気象衛星「ひまわり」の気象画像処理装置の開発にも関わっています。
通信・ネットワーク: NTT-TE東京（後のNTT-ME）と共同開発したISDNターミナルアダプタ「MN128」シリーズは、当時のISDN普及を牽引し、通信環境の進化に貢献しました。
ソフトウェア: インターネットが一般に普及し始めた頃には、ウェブページの自動巡回・操作を行う画期的なソフトウェア「波乗野郎」を開発・発売し、日経優秀製品サービス賞優秀賞を受賞するなど、その先進性が高く評価されました。
マルチメディア・放送技術: 米国ラディウス社との共同開発によるデジタルビデオアクセラレータ「DeskStudio」や、NHK放送技術研究所が進めるスーパーハイビジョン映像送出システムへの参画、スペースシャトル・ディスカバリーに搭載されたハイビジョン信号変換装置の開発など、映像・放送分野でも重要な役割を果たしました。
宇宙開発: 2010年には、宇宙航空研究開発機構（JAXA）とビー・ユー・ジーの共同チームが、国際宇宙ステーション（ISS）の映像伝送能力を飛躍的に向上させたマルチメディア・コミュニケーション・システム（MPC）に関する功績で、NASAからGroup Achievement Awardを受賞しました。

DMG森精機グループへ

2008年、ビー・ユー・ジーは工作機械メーカーである森精機製作所（現・DMG森精機）と資本・業務提携を結び、その関係を深めていきました。そして、2013年には森精機の完全子会社となり、社名を「ビー・ユー・ジー森精機株式会社」に変更。その後、「ビー・ユー・ジーDMG森精機株式会社」を経て、2023年1月1日には現在の「DMG MORI Digital株式会社」へと社名を改めています。現在はDMG森精機グループの一員として、同グループのデジタル技術分野を担う重要な役割を果たしています。

主な沿革

1977年：個人経営のソフトハウス「B.U.G」として創業。
1980年：株式会社ビー・ユー・ジーを設立。
1982年：ソニーSMC-70用モニタ・BASIC開発、気象衛星ひまわり気象画像処理装置開発。
1988年：本社/研究所を札幌テクノパークに新築移転。
1993年：デジタルビデオアクセラレータ「DeskStudio」を米国ラディウス社と共同開発。関連会社バイスが全編CGアニメ「ビット・ザ・キューピッド」制作開始。
1994年：Macintosh用開発環境「CodeWarrior」の日本総代理店業務を開始。
1995年：NTT-TE東京とISDNターミナルアダプタ「MN128」シリーズを共同開発・発売。
1996年：WWWオートパイロットソフト「波乗野郎」を発売（日経優秀製品サービス賞受賞）。
2000年：衛星通信を利用した気象観測システム「OC-200W」開発。
2005年：NHK技研のスーパーハイビジョン映像送出システム開発に参画。
2007年：スペースシャトル搭載用ハイビジョン信号変換装置開発。
2008年：森精機製作所（現DMG森精機）と資本・業務提携。
2010年：JAXAと共同でNASA Group Achievement Awardを受賞。
2013年：森精機の完全子会社となり、社名を「ビー・ユー・ジー森精機株式会社」へ変更。
2015年：社名を「ビー・ユー・ジーDMG森精機株式会社」へ変更。
* 2023年：社名を「DMG MORI Digital株式会社」へ変更。

長年にわたり、常に最先端の技術分野に挑戦し、日本のIT産業、特に札幌のサッポロバレーの発展に貢献してきた同社は、現在DMG森精機グループの一員として、製造業のデジタル化を推進する役割を担っています。

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