DOTピクトグラム

DOTピクトグラム/AIGAピクトグラム

DOTピクトグラム、またはAIGAピクトグラムは、アメリカ合衆国運輸省（DOT）の依頼を受け、アメリカグラフィックアート協会（AIGA）が作成した、50種類のピクトグラムのセットです。これらのピクトグラムは、言葉を使わずに旅行者へ有用な情報を提供することを目的としています。

特徴

これらのピクトグラムは、空港、駅、ホテルなど、特に外国人観光客が多く利用する公共の場所で非常に役立ちます。文字に比べて直感的に理解しやすく、国際的な認識度も高いのが特徴です。トイレや電話のマークなど、現代社会ではお馴染みのピクトグラムも含まれています。その普遍的なデザインは「ピクトグラムのヘルベチカ」とも称され、特に人（男性）を表すピクトグラムは「ヘルベチカ・マン」という愛称で親しまれています。

また、DOTピクトグラムはアメリカ合衆国政府の著作物としてパブリックドメインに属しており、ライセンスの問題なく、誰でもどのような目的でも自由に利用できます。

歴史

1974年、DOTは、それまで場当たり的に作成されていた州間高速道路で使用されるピクトグラムの欠点に気づき、AIGAにピクトグラムの作成を依頼しました。AIGAは、ロジャー・クックとドン・シャノスキーの協力を得て、東京国際空港や1972年のミュンヘンオリンピックなど、世界中で使用されている様々なピクトグラムを徹底的に調査しました。

彼らは、これらのピクトグラムを、見やすさ、国際的な認識度、そして破壊行為に対する耐久性といった基準で評価しました。どの特徴が最も成功し、適切であるかを判断した後、DOTから要求された34種類のピクトグラムをデザインしました。その後、1979年には16種類のピクトグラムが追加され、合計50種類となりました。

ピクトグラムの開発

事前調査

開発にあたっては、まず、24種類の施設（鉄道、空港、政府機関）やイベント（オリンピック、博覧会）で使用されているピクトグラムを収集し、カテゴリーごとにカタログを作成して精査しました。ゼロからデザインするのではなく、可能な限り既存のピクトグラムを基に、より強固なデザインを開発することが重要な目標となりました。

評価

最初のステップとして、このプロジェクトで作成するピクトグラムの種類を特定しました。これは「メッセージ・エリア」と呼ばれました。DOTの施設局とAIGAの委員会が共同で、34種類のメッセージからなる初期リストを作成しました。これらのメッセージは、大きく四つのカテゴリーに分類されました。

公共施設: 電話、トイレ、救護所など、施設サービスと交通手段に関連するもの
商業施設: レンタカー、コーヒーショップ、売店など、商業的なサービスに関連するもの
行動処理: チケット購入、税関など、乗客関連の手続きに関するもの
規制: 禁煙、立入禁止など、規則に関するもの

24の情報源から委員会が求めたメッセージを伝えるシンボルは、「コンセプトグループ」としてまとめられ、メッセージを伝えるために類似した一般的なデザインを使用したシンボルのグループに分けられました。例えば、「電話」のシンボルは、「電話の受話器」、「電話のダイヤル」、「正面から見たダイヤル式電話」、「受話器とダイヤル」という四つのコンセプトグループに分けられました。

スコアリング

シンボルは、「意味的」「統語的」「実用的」の三つの特性で評価されました。

意味的: 伝えたいメッセージを正確に伝えているか
統語的: デザインが論理的で一貫性があるか
実用的: 実際の利用状況で機能するか

各委員が、これらの三つのカテゴリについて、1（悪い）から5（良い）の点数をつけて評価しました。各シンボルの合計スコアに加え、コンセプトグループごとに、三つのカテゴリとの合致度に基づいた総合スコアが与えられました。

勧告

最後に、各シンボルの得点や議論に基づいて、提言や見解がまとめられました。「電話」のシンボルについて言えば、受話器のアイコンは一般的だが、レンチなどの他のアイテムと混同される可能性があること、ダイヤルのシンボルはわかりやすいが、プッシュボタン電話の使用が増えているため、すでに時代遅れになっている可能性などが指摘されました。

これらの提言は、コンセプトに沿ったシンボルをデザインするための最終的な指針としてまとめられました。「電話」については、「グループ1のコンセプトを修正し、現代の電話機の正面図を実験的に採用する」という結論に至りました。

ピクトグラム

オリジナル版（1974年）

最初に開発されたピクトグラムのセットは、主に交通機関を想定した34種類で構成されました。「救護所」「禁煙」「駐車禁止」「立入禁止」には、赤色にオストワルト表色系の「6 1/2 pa」が使用されました。

（実際のピクトグラムの図は、テキストのみのため省略します。）

1979年追加

1979年、DOTはオリジナルのセットで不足していた部分を補うため、16種類のピクトグラムの追加作成をAIGAに依頼しました。「救護所」「禁煙」「駐車禁止」「ペット持込み禁止」「立入禁止」にはパントンレッド032C、「出口」にはパントングリーン340Cが使用されました。

（実際のピクトグラムの図は、テキストのみのため省略します。）

2000年代

「救護所」のピクトグラムには、以前は赤十字が使用されていましたが、アメリカ赤十字社が救急処置や医療サービスの一般的なシンボルとしての「赤十字」の使用を制限する取り組みを進めた結果、「救護所」のピクトグラムは非公式に変更されました。

アメリカ赤十字社は、1999年にDOTピクトグラムを含むピクトグラム集を出版していたUltimate Symbol社に対し、1996年版の赤十字シンボルがジュネーブ条約やアメリカの商標法に違反していることを伝え、AIGAのDOTピクトグラムセットを含む今後の版からの削除を要請しました。その結果、第2版の"Official Signs & Icons"では、ISO 3864で「安全色」と規定された緑色の十字に変更されました。緑の背景に白の十字、または緑の背景に白の十字のシンボルは、元の赤十字と視覚的に類似しており、広く使用されているため、一般的な代替シンボルとなっています。現在では、ISO 7010で、救護所のピクトグラムは緑の背景に白の十字として規格化されています。

（実際のピクトグラムの図は、テキストのみのため省略します。）

関連項目

ISO 7001

脚注

（注釈、出典、外部リンクについては、原文と同様のため省略します。）

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