DSLAM

DSLAM（デジタル加入者線アクセス多重化装置）

DSLAMとは、デジタル加入者線（DSL）接続のための主要なネットワーク機器です。この装置は電話局に設置され、複数の加入者線の信号を集約し、インターネットバックボーンに接続します。DSLサービスの距離を延ばすために、電話交換機から遠くに配置されることもあります。

DSLAMまでのデータ経路

1. 加入者のコンピュータ

DSLサービスを利用するためには、ユーザーのコンピュータがDSLモデムを通じて通信します。これにより、インターネットに接続されます。

2. ローカルループ

加入者の自宅から最寄りの電話局までの回線はローカルループと呼ばれ、電話会社が所有する伝送路です。これは「ラストワンマイル」とも言われ、DSLサービスを受けるための最終区間です。

3. 中央集配線盤（MDF）

加入者向けと内部配線を接続する集線盤が中央集配線盤です。ここでは、スプリッタが使用され、高速デジタル信号がDSLAMに送られます。

4. DSLAM

DSLAMはラストワンマイルのデータを受け取り、多重化してひとつの信号に変換します。このデジタル信号は基幹交換機を通じて、インターネットサービスプロバイダーに送信されます。

DSLAMの主な役割

DSLAMは、DSLモデムのポートを複数持ち、各ポートから受信した信号を集めます。さらに、さまざまな通信方式を扱う能力を持ち、ATMやフレームリレー、IPネットワークを統合することもできます。DSLAMはOSI参照モデルでいうデータリンク層の装置であり、大規模なスイッチングハブのように動作します。

DSLAMの設置場所と機能

DSLAMは必ずしも電話局に配置されるわけではなく、加入者に近い地点へも設置できる場合があります。この場合はSAI（Servicing Area Interface）として知られています。さらに、FTTx技術を組み合わせることで、より効率的な通信が実現します。

各DSLモデムは、加入者側のDSLモデムと通信し、全体としてDSLAMを構成します。これにより、高速転送が可能となり、その適応能力によって最適な速度を引き出します。

速度と距離の関係

DSLサービスの速度は、DSLAMと加入者間の距離に大きく依存しています。ツイストペアケーブルでは、高周波数の信号ほど減衰が大きいため、距離が長くなるとデータ転送速度が低下します。以下に距離によるデータ転送レートの概算を示します。

• - 25 Mbit/s - 約300m
• - 24 Mbit/s - 約600m
• - 23 Mbit/s - 約900m
• - 22 Mbit/s - 約1.2km
• - 21 Mbit/s - 約1.5km
• - 19 Mbit/s - 約1.8km
• - 16 Mbit/s - 約2.1km
• - 1.5 Mbit/s - 約2.8km
• - 800 kbit/s - 約5.2km

（0.40mm銅線の場合）

追加機能としての等

DSLAMは、加入者からのトラフィックを上流のルーターに送信する際にVLANトラフィックをタグ付けする機能も持ちます。また、ある種のDSLAMはパケットフィルタリングを実施し、特定のトラフィックやプロトコルを排除することも可能です。これにより、通信品質を向上させるためのQuality of Service（QoS）機能もサポートされています。

ハードウェアの構成

DSLAMは、加入者のコンピュータと接続されるADSLモデムやDSLルーターを通じて、通常のツイストペアケーブルを使用して公衆交換電話網へ接続されます。使用されるハードウェアには、電源装置や複数の集合カードが含まれ、これにより接続する加入者の数を増やすことができます。

IP-DSLAMの登場

IP-DSLAMは、トラフィックの管理をIPベースで行う新しいタイプのDSLAMです。従来型ではATMルーターが必要でしたが、IP-DSLAMでは自身が直接IPトラフィックを処理します。これによりコスト削減と機能向上が実現されます。

まとめ

DSLAMは、デジタル加入者線の中核を成す重要なネットワーク機器です。その多様な機能と柔軟性により、現代のインターネット環境において不可欠な存在となっています。

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