Darwin (オペレーティングシステム)

Darwin（ダーウィン）とは

Darwinは、Appleが開発したオープンソースのオペレーティングシステム（OS）です。macOS、iOS、iPadOS、watchOS、tvOSなど、Appleの主要なOSの基盤として機能しています。Unix系のOSとして、その核となる部分にはBSD系の機能も取り入れられています。Darwinは、オープンソースおよび自由ソフトウェアとして公開されており、Apple Public Source License（APSL）の下で、誰でも入手、インストール、運用が可能です。

概要

当初、DarwinはPowerPCベースのMacで動作していましたが、後にIntel Macにも対応しました。Intel CPUへの移行後も、対応するソースコードが公開され、オープンソースとしての立場が維持されています。インストール用のCDイメージは提供されていませんが、後継プロジェクトであるPureDarwinのサイトからダウンロードできます。

テクノロジー

Darwinは、NEXTSTEPからOPENSTEPへと続く流れを汲み、Mach 3.0+BSDをベースとしています。POSIX互換を目指していますが、POSIXのどのバージョンにも準拠認定はされていません。macOSはLeopard以降、Single UNIX Specification version 3 (SUSv3)準拠の認定を受けています。

カーネル：XNU

DarwinのカーネルはXNUと呼ばれており、Machを採用していますが、マイクロカーネル構造は採用されていません。これは、パフォーマンス上の懸念を考慮した結果です。I/OKitというオブジェクト指向のフレームワークがドライバモデルとして使用されています。これはNEXTSTEPのDriverKitの後継であり、C++で実装されています。

起動プロセス

Darwinの起動プロセスはlaunchdというデーモンによって行われます。これは、他のUnix系システムのinitに相当する役割を果たし、ネットワークポートの監視やcronのようなスケジュール実行機能も担当します。Core FoundationなどのCore Serviceの一部も含まれます。

Darwinのインターフェース

DarwinにはCocoa、Core Image、Core Audio、WebKitといったAPIやGUI関連の要素は含まれておらず、操作画面はCUI（Character User Interface）となっています。

歴史

Darwinの起源は、1989年にリリースされたNeXTのNeXTSTEP OSに遡ります。1997年にAppleがNeXTを買収した後、OPENSTEPをベースに開発が進められました。これがRhapsody、Mac OS X Server 1.0、Mac OS X Public Betaを経て、2001年にMac OS X 10.0としてリリースされました。Mac OS XのコアコンポーネントはDarwinとしてオープンソースで公開されています。

当初、AppleはISOイメージの形でバイナリインストーラーを提供していましたが、現在はソースコードのみが利用可能です。ただし、ARMアーキテクチャ向けのDarwinはiOSなどから分離されてリリースされていません。しかし、趣味の開発者が公式のDarwinソースコードをARMに移植した例もあります。

リリース履歴

Darwinのリリースと対応するmacOSのバージョンは以下の通りです。




macOSのバージョン番号は、Darwinのビルド番号体系と連動しており、unameコマンドで確認できます。

派生プロジェクト

Darwinは自由ソフトウェアであるため、多くの派生プロジェクトが存在します。

OpenDarwin

OpenDarwinは、Appleと自由ソフトウェアコミュニティが協力して開発したOSですが、独立したOSを構築できずにプロジェクトは停止しました。

PureDarwin

PureDarwinは、OpenDarwinの後継として、Darwin 9をベースにしたリリースを作成しています。X11、DTrace、ZFSなどが含まれる「PureDarwin XMas」や、最小限のコンポーネントを持つ「PureDarwin nano」があります。

その他の派生プロジェクト

• - XQuartz: macOS向けのX Window System実装。
• - GNUstep: OPENSTEPから派生した開発環境で、ウィジェットツールキットも含む。
• - Étoilé: GNUstepをベースにしたデスクトップ環境。
• - WebKit: macOSのSafariで利用されるレンダリングエンジン。
• - MacPorts, Fink, Homebrew: Darwin OSにUNIXプログラムを移植するプロジェクト。
• - GNU-Darwin: Darwinに自由ソフトウェアのパッケージを移植するプロジェクト。
• - Darwine: WindowsソフトウェアをDarwin上で実行できるようにするプロジェクト。
• - SEDarwin: TrustedBSDとSELinuxのフレームワークの一部をDarwinに移植するプロジェクト。
• - Darbat: L4マイクロカーネルへのDarwinの実験的な移植。

その他、ワイヤレスドライバ、NICドライバ、ファイルシステムドライバなど、ハードウェアサポートを目的とした様々なプロジェクトが存在します。

まとめ

Darwinは、Appleの多くのOSの基盤であり、オープンソースとして広く利用されています。その技術的な特徴や歴史、派生プロジェクトを理解することは、Apple製品の裏側を知る上で非常に重要です。

もう一度検索