Digital Performer

Digital Performer (デジタルパフォーマー) について

Digital Performer（デジタルパフォーマー）は、アメリカのMark of the Unicorn（MOTU）社が開発した、プロフェッショナル向けのデジタルオーディオワークステーション（DAW）ソフトウェアです。しばしば「MOTU DP」や「デジパフォ」と略称されます。

概要

Digital Performerは、1985年に発売されたMIDIシーケンサーソフトウェア「Performer」をルーツとしています。1992年には、オーディオ録音、編集、ミックス機能を統合したDAWソフトウェア「Digital Performer」としてリリースされました。世界中のプロミュージシャンから支持されており、現在ではPerformerシリーズはDigital Performerに一本化されています。

操作面では、メインとなるロケーターやシーケンサー部のデザイン、キーボード操作法は初期の頃から大きな変更はなく、一貫性が保たれています。柔軟なMIDI編集機能は、Digital Performerの大きな特徴の一つです。

MOTU社は、オーディオインターフェースやMIDIインターフェースなどのハードウェアも製造しています。かつてMac OS 9時代には、同一メーカーからソフトウェアとハードウェアが提供されることで、安定したシステム環境を構築できることが評価されていました。現在では、ほとんどのMOTU製ハードウェアはDigital Performer以外のソフトウェアやWindows環境にも対応しています。

近年のアップデート

2012年のNAMMショーで、Digital Performerはバージョン8となり、初めてWindowsプラットフォームに対応しました。その後、Mac OS XとWindowsに対応したバージョン9が2015年6月にリリースされ、1176 Peak LimiterやCraig AndertonのMultiFuzzのエミュレーションなどのエフェクトプラグインが追加されました。

バージョン9.1では、LTC出力プラグインのSMPTE-Zや、ハードウェアインサートプラグインが追加されたほか、CPU負荷軽減のためのプリレンダー機能が採用されました。2019年1月には、ZynaptiqテクノロジーによるオーディオのタイムストレッチングやBeat Detection 2.0を実装したバージョン10が発表され、同年2月にリリースされました。

2019年11月には、MOTU社初となる低価格帯のオーディオインターフェースM2とM4にバンドルされる形で、機能限定版のDAWソフトウェア「Performer Lite」が登場しました。これは、Digital PerformerのUIを簡素化し、使用可能なオーディオおよびMIDIトラック数に制限を設けたもので、一部のプラグインが付属しているものの、実質的にはDigital Performerの普及版としての側面が強いです。

2021年7月には、Appleシリコン搭載Macにネイティブ対応したメジャーアップデート版DP11がリリースされ、MIDIシーケンス内のアーティキュレーションマップの活用や譜面編集の強化、MPEへの対応など、プロの作曲家やプロデューサー向けの機能が強化されました。2022年4月には、MIDIトラックとインストゥルメントトラックの統合が実装されたDP11.1がリリースされました。

主な機能

Digital Performerは、以下の機能を備えています。

MIDIデータの記録、再生、編集: 内部処理では2兆分の1拍、表示では最高1万分の1拍の分解能でMIDIデータを扱えます。
オーディオの録音、再生、編集: 外部オーディオインターフェースにより、最高24bit/192kHzの量子化ビット数とサンプリング周波数に対応します。
多彩なオーディオチャンネルのミキシング: 1ch、2ch、4ch、LCRS、5.1ch、6.1ch、7.1ch、10.2chのオーディオミキシングに対応しています。
QuickTimeビデオとの同期再生
各種ファイル形式のサポート: SMF形式のMIDIファイル、SDII、AIFF、WAV、MP3形式などのオーディオファイル、OMF、AAF形式のマルチトラックオーディオ設定ファイルの読み込みと書き出しに対応します。
豊富なプラグイン: 67種類のエフェクタープラグインと、7種類のソフトウェアシンセサイザープラグインが付属。UVI Workstationで動作するアコースティック楽器ライブラリも利用可能です。
プラグイン形式: MAS、AU、VST形式のプラグインに対応しています。

歴史

1980年: Mark Of The Unicorn設立。
1984年: Apple Macintosh用の音楽ソフト「Professional Composer」を発売。
1985年: Macintosh用MIDIシーケンサーソフト「Performer」を発売。
1992年: オーディオ機能を統合したDAWソフト「Digital Performer」を発売。
1994年: 「Performer 5」を発売。グラフィックのカラー化と機能追加。
1997年: 「Digital Performer 2」と「Performer 6」を発売。Digital Performerへの移行が進む。
2001年: 「Digital Performer 3」を発売。PPC専用となる。
2003年: 「Digital Performer 4」を発売。Mac OS X専用となる。
2006年: 「Digital Performer 5」を発売。インテル/PPC両対応となる。
2012年: 「Digital Performer 8」を発売。Windows版もリリース。
2015年: 「Digital Performer 9」を発売。
2019年: 「Digital Performer 10」を発売。12月にバージョン10.1をリリースし、オフラインバウンスやRetrospective MIDI Recordなどの機能が追加。
2021年: 「Digital Performer 11」を発売。


Digital Performerは、長年の歴史の中で常に進化を続け、プロフェッショナルな音楽制作を支える強力なDAWソフトウェアとしての地位を確立しています。

外部リンク

Mark of the Unicorn
ハイ・リゾリューション - 日本における販売代理店

もう一度検索