EL/M-2238 STAR
EL/M-2238 STAR: 先進の捜索レーダー
EL/M-2238 STAR（Surveillance & Threat Alert Radar）は、イスラエルのエルタ・システムズ社が設計した、先進的な機能を持つ捜索レーダーです。このレーダーは、複数のビームを用いた追尾機能（TWS）を利用することで、同時に複数の目標を追跡する能力を備えています。また、信号処理技術にはコヒーレント・パルス・ドップラー処理が採用されており、高度な精度での目標検出が実現されています。
構成と機能
EL/M-2238 STARは、IAIエルタ社が提供する射撃指揮レーダーEL/M-2221 STGRやバラク防空ミサイルシステムと組み合わせることで、フリゲートやコルベット、高速戦闘艇向けの小型防空システムを構築できます。これにより、さまざまな艦艇に対応した防空能力を持つシステムの提供が可能となります。
特に、インド海軍ではこのレーダーを標準的な個艦防空システムとして導入しており、非常に効果的な運用が行われています。EL/M-2238 STARは、搭載艦艇のサイズに応じてシステム構成を変更することができ、小型艇向けのモデル（Light-STAR）では、アンテナのサイズが2.6m×1.0mで、最大探知距離は200kmとなっています。
一方、大型艦向けのモデル（STAR Extended Range）では、アンテナのサイズが4.0m×2.0mに設定され、最大探知距離は350kmに達します。このような柔軟な設計により、EL/M-2238 STARは多様な運用ニーズに応えることができます。
掲載艦艇
EL/M-2238 STARは、インド海軍をはじめ、シンガポール海軍、チリ海軍、ベネズエラ海軍の艦艇に搭載されています。具体的には、インド海軍の空母「ヴィラート」や各級の駆逐艦（コルカタ級、ラージプート級）、およびゴーダーヴァリ級、ブラマプトラ級、シヴァリク級のフリゲートに搭載されています。
シンガポール海軍ではエンデュアランス級揚陸艦が、チリ海軍ではフリゲート「アルミランテ・ウィリアムズ」が、そしてベネズエラ海軍のマリスカル・スクレ級フリゲートにも採用されています。
同類のシステム
EL/M-2238 STARの競合機としては、フランスのトムソンCSF社が開発したDRBV-15Cや、オランダのシグナール社のSMART-Sなどが挙げられます。これらのシステムも先進的な追尾能力を持ち、さまざまな用途に応じて運用されています。
結論
EL/M-2238 STARは、その高性能の追尾機能と柔軟なシステム構成により、現代の海上戦術において重要な役割を果たす捜索レーダーです。さまざまな海軍に採用されていることからも、その信頼性と効果が示されています。
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