EPWING

EPWINGとは

EPWING（イーピーウィング）は、電子辞書の標準形式として広く認知されています。この規格は、日本語の電子出版物に共通のフォーマットを提供しており、検索データ構造としてJIS X 4081に基づいています。

成立の経緯

1986年に富士通、岩波書店、ソニー、大日本印刷の4社が協力し、広辞苑第三版のCD-ROM版を制作しました。この時、開発されたフォーマットは「WING」と名付けられました。1988年には、CD-ROMの論理フォーマットであるISO 9660が制定され、このWING規格を基に汎用性を高めたEPWING規約が初版として制定されました。1991年には、電子出版物を共通フォーマットで提供するためのEPWINGコンソーシアムが結成され、様々な企業（岩波書店、大日本印刷、富士通、ソニー）が参加しました。後に、電子ブック（EB）もこのWING規格を基に拡張されました。

仕様と機能

EPWINGは多くのバージョンが存在し、計6つの仕様が展開されています。古い仕様に対応したソフトウェアも多く、利便性が高いのが特徴です。

• - EPWING V1: 文字、白黒画像、音声（CD-DA）
• - EPWING V2: カラー画像、圧縮音声（WAV）
• - EPWING V3: 動画（MPEG-1）
• - EPWING V4: データ圧縮、ハードディスクへのインストール
• - EPWING V5: JPEGなどのマルチメディア機能、数式表示の拡張
• - EPWING V6: ひらがな・カタカナインデックスの共通化、データ圧縮によるサイズ縮小
• - EPWING ST: 対話型コンテンツ再生機能（デモや学習用途）

ファイル構造

EPWINGのCD-ROMは特有のファイル構造を持ち、ルートディレクトリにはCATALOGSファイルがあり、その下に個々の辞書ファイルが存在します。各辞書はサブディレクトリに格納され、そこにデータや外字データファイルが配置されています。ファイル構造はバージョンが進むにつれて進化し、多様なデータ形式に対応しています。

検索方法

EPWINGの検索機能は多彩で、使用者はキーワードの前方一致や後方一致での検索ができます。また、条件検索や複合検索、メニュー検索などが可能であり、視覚的なインターフェースも提供されています。これにより、利用者は求める情報を迅速に見つけやすくなっています。

主要タイトル

EPWINGでは、さまざまな主要辞書が出版されており、例えば『広辞苑第五版』や『リーダーズ英和辞典第2版』等が存在します。これらは教育・研究など多用途に利用されています。

検索ソフトウェア

EPWINGに対応した検索ソフトは多彩で、市販のソフトウェアも複数存在します。特に、ユーザーは使用しているOSに応じたソフトを選ぶことができ、多くのプラットフォームでサポートされています。これにより、EPWINGの辞書データを手軽に利用可能です。

後継・派生規格

EPWINGの後継として2010年代からONESWINGが登場しており、これには新たな機能が追加されています。しかし、市場での普及は限定的であり、EPWINGスタイルのソフトウェアは徐々に姿を消しつつあります。現在は多くの辞書がアプリとして進化し、手軽にアクセスできる形での提供が進んでいます。

EPWINGの規格は日本における電子辞書のスタンダードとして重要な役割を果たしてきましたが、今後は新たな技術やプラットフォームに適応する形で進化していくことが求められています。

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