Extended Industry Standard Architecture

EISA (Extended Industry Standard Architecture)とは

Extended Industry Standard Architecture（EISA）は、PC/AT互換機|PC_AT互換機用に開発された32ビットコンピュータバスアーキテクチャです。一般的には「イーサ」「エイサ」などと略されます。

1980年代後半、IBMがPS/2に搭載したMCA（Micro Channel Architecture）に対抗するため、AST Research、セイコーエプソン、ヒューレットパッカード、日本電気、オリベッティ、タンディ・ラジオシャック、Wyse、Zenith Data Systemsの9社によって共同で開発されました。EISAの規格書は有料で配布されましたが、規格自体はパブリックドメインとされています。

EISAの技術的特徴

EISAは、高度なバス調停機能、リソースの自動設定、4GBまでのメモリアドレスサポート、そして最大33MB/秒のデータ転送速度といった、MCAに匹敵する高度な機能を有していました。しかし、ISA（Industry Standard Architecture）との互換性を保つために、ノイズ対策に必要なグランド信号線のレイアウトを最適化することができず、性能面ではMCAに劣る部分もありました。

EISAは、ISAバスを縦方向に拡張し、エッジコネクタの接点を2列の千鳥配置とすることで32ビット化を実現しました。この設計により、ISAやXTバスの拡張カードをそのまま使用できるという大きなメリットがありました。この互換性は、PC/AT互換機|PC_AT互換機メーカーにとって、既存の顧客を失うリスクを回避しつつバスの高速化を図る上で非常に重要でした。

EISAの歴史的背景

1980年代後半、Intel 80386プロセッサの登場により、PC/AT互換機|PC_AT互換機では32ビットデータバスへの移行が急務となっていました。しかし、当時の標準であった16ビットISAバスは、性能的なボトルネックとなっていました。

当初、多くのメーカーは、32ビット化をメモリやチップセットなどのローカルバスに限定し、外部拡張スロットは従来のISAバスを使用するという手法でこの問題を先送りしていました。しかし、将来のソフトウェアや周辺機器の高性能化を考えると、拡張バスの高速化は不可欠でした。

この状況下で、IBMが発表したPS/2とMCAは、高性能な32ビットバスを搭載していましたが、IBMが多数の特許を保有していたため、互換機メーカーはMCAを自由に採用することができませんでした。さらに、IBMはMCAのライセンス供与にあたり、過去に遡って高額なライセンス料を要求したため、多くの互換機メーカーが反発しました。

そこで、AST Researchなど9社は、MCAに対抗し、ISAとの互換性を維持したまま32ビットバスを実現するEISAを開発することにしました。これにより、PC市場では一時、MCAとEISAの競争が繰り広げられました。

EISAの終焉

EISAは、ISAとの互換性を重視しすぎたため、データ転送速度の面で十分な性能を発揮することができませんでした。その後、VLバスやPCIなどのより高速なバス規格が登場し、EISAは次第に市場から姿を消しました。

しかし、インテルのPCIバス対応チップセットでは、PCI-EISAブリッジチップやEISAコントローラが、450GXチップセット世代までオプションとして提供されていました。特に、対称型マルチプロセッサ（SMP）に必要なAPIC（Advanced Programmable Interruption Controller）が内蔵されていたため、サーバー向けには比較的長くEISAスロット搭載機が提供されました。

まとめ

EISAは、IBMのMCAに対抗するために開発された32ビットバス規格であり、ISAとの互換性を維持しつつ高速化を目指したものでした。しかし、技術的な制約や、より高性能なバス規格の登場により、最終的には市場から消え去りました。EISAの歴史は、PCの進化における重要な一側面を示しており、その技術的な挑戦と市場競争は、後のバス規格に大きな影響を与えました。

関連技術

Industry Standard Architecture (ISA)
Micro Channel Architecture (MCA)
New Extend Standard Architecture (NESA)
Peripheral Component Interconnect (PCI)
XTバス
VESA ローカルバス
コンパクトPCI

外部リンク

EISA bus technical summary

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