FMニセコ放送

FMニセコ放送：幻に終わった地域のコミュニティFM局

FMニセコ放送株式会社は、かつて北海道虻田郡倶知安町を放送区域としていたコミュニティFM局です。道内初の「町」を対象としたコミュニティ放送局として開局しましたが、残念ながら短命に終わりました。本記事では、その概要、沿革、そして閉局に至るまでの経緯を詳しく解説します。

概要

FMニセコは、コールサインJOZZ1AW-FM、呼出名称「くっちゃんエフエムニセコ」として、周波数83.5MHz、空中線電力20W（実効放射電力37W）で放送を送信していました。送信所は倶知安町樺山に、演奏所（スタジオ）は北1条の駅前通りに位置していました。マスコットキャラクターは「ラジーモ」です。

沿革

2006年8月：FMニセコ放送株式会社設立
2006年8月30日：免許申請書が受理
2006年11月16日：放送局の予備免許取得
2006年12月2日：試験放送開始
2006年12月12日：放送局の免許取得
2006年12月18日：本放送開始
2007年3月10日：臨時株主総会が流会
2007年9月16日：株主総会で会社解散を決議
2007年9月22日：16時をもって放送終了
2008年3月21日：廃止届が受理

閉局に至る経過

開局からわずか3ヶ月後、FMニセコは経営危機に陥っていることが報道されました。毎月約190万円の赤字が発生し、社員への給与未払いも常態化していました。さらに、当時の社長が役員への暴行容疑で逮捕されるなど、経営状況は悪化の一途を辿りました。

2007年7月には給与の支払いが完全に停止し、8月末には社員が全員解雇され、ボランティアによる運営を余儀なくされました。代表取締役は、経営難の最大の要因を「ほとんど営業活動を行っていなかったこと」と説明しています。

2007年9月16日の株主総会では、経営困難を理由に会社解散が決議されました。報道によると、初年度（5ヶ月）の売上は約640万円に対し、未払金だけでも約4,600万円の負債を抱えていました。

当時の番組パーソナリティのブログによると、閉局直前には自社サイトのサーバーが停止し、レンタルサーバーへの移転を余儀なくされたり、電力会社からスタジオへの送電が停止されたりするなど、混乱した状況だったようです。

2007年9月22日、最後の放送を終え、FMニセコはその短い歴史に幕を閉じました。

編成

FMニセコは、オーストラリア人観光客をターゲットに、一部番組で英語または日本語と英語の二ヶ国語放送を行っていました。また、J-WAVEの再送信も行っており、24時間放送を実施していました。

番組表は、開局から2007年9月17日まで北海道新聞に掲載されていました。倶知安町の広報誌にも、自社制作番組紹介欄が掲載されていました。

主な番組

モーニングブリーズ（月-金 7:00-9:00、土日 7:00-8:00）：二ヶ国語放送
Global Information（月-金 11:30-12:00、土 12:00-12:30、日 11:30-12:00）
道路情報（月-金 16:20-16:30、土 16:20-16:30、日 11:50-12:00）
その他、様々な音楽番組、地域情報番組、語学番組などが放送されていました。

閉局後

FMニセコの閉局後、出演者らによりインターネットラジオ「ニセコラジオ」が運営された時期もありました。

FMニセコは短命に終わりましたが、地域初のコミュニティFM局として、その存在は記憶されています。閉局に至るまでの混乱や苦労は、地方ラジオ局の経営の難しさを示す教訓として、語り継がれることでしょう。

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