FU-JI-TSU

FU-JI-TSU：工藤静香の代表曲誕生秘話とヒットの軌跡

1988年、日本の歌謡界に新たな金字塔が打ち立てられました。工藤静香の4枚目のシングル「FU-JI-TSU」です。この曲は、数々のヒット曲を世に送り出してきた工藤静香のキャリアにおいても、特別な意味を持つ一曲と言えるでしょう。その魅力と背景を紐解いていきます。

中島みゆきとの奇跡の共作

「FU-JI-TSU」最大の特徴は、作詞を国民的女流シンガーソングライター中島みゆきが担当している点です。工藤静香の楽曲で中島みゆきが作詞を手掛けたのはこれが初めてであり、両者の才能が融合した奇跡の作品と言えます。 この楽曲のタイトルは、当初「不実」というタイトル案がありました。しかし、中島みゆき本人は、このタイトルが持つ重みに難色を示したと言われています。そこで、アルファベット表記の「FUJITSU」を試したところ、大手電機メーカーと同じ表記になってしまい、結果としてハイフンを入れて「FU-JI-TSU」というタイトルが採用されました。このエピソードは、中島みゆきの著書『愛が好きです II』にも記されており、楽曲誕生の裏側を知る上で貴重な情報となっています。興味深いことに、中島みゆきは1989年のコンサートツアー『野ウサギのように』でこの曲をセルフカバーしています。しかし、現在もCDや配信での音源化はされておらず、幻のライブ音源としてファンの間で語り継がれています。このコンサートでは、イントロに「MUGO・ん…色っぽい」が流れ、会場を一瞬にしてどよめかせた後、「FU-JI-TSU」へと移行するというサプライズ演出もあったようです。

印象的なジャケットと多彩なリリース形態

シングルジャケットでは、工藤静香が黄色の薔薇を持ったモノクロ写真が採用されています。しかし、雑誌掲載などのサンプル盤では赤い薔薇の写真が使われていたという興味深い逸話も存在します。

リリース形態は、当時の主流であったEPレコード、カセットテープに加え、コンパクトディスク（8cmCD）の3形態が用意され、幅広い音楽ファンにアクセスできるよう工夫が凝らされていました。1988年6月1日、ポニーキャニオンより発売開始。

オリコンチャート1位獲得とベストテンでの活躍

「FU-JI-TSU」は発売後、瞬く間にヒットチャートを駆け上がります。1988年6月13日、6月20日付のオリコン週間シングルチャートで1位を獲得。「禁断のテレパシー」以来、3作ぶりとなる快挙でした。また、TBS系音楽番組『ザ・ベストテン』にもランクインし、6週連続チャートインという記録を残し、年末の年間ランキングでは16位という輝かしい成績を収めました。

収録アルバムとカップリング曲

「FU-JI-TSU」は、工藤静香のアルバム『静香（2nd アルバム）』『gradation』『Super Best』『She Best of Best』『ミレニアム・ベスト』『Shizuka Kudo 20th Anniversary the Best』『My Treasure Best -中島みゆき×後藤次利コレクション-』『ヴィーナス・レジェンド 〜無敵の80'sアイドル・ヒッツ』などに収録されています。また、カップリング曲「夏がくれたミラクル」は、作詞を松井五郎が担当し、後藤次利が作曲・編曲を担当。こちらも多くのアルバムに収録されており、「FU-JI-TSU」と並んで工藤静香の代表曲の一つとして親しまれています。 さらに、「FU-JI-TSU (Vocal New Version)」は『unlimited』に、「夏がくれたミラクル」は『20th Anniversary B-side collection』『My Heartful Best -松井五郎コレクション-』に収録されています。

まとめ

「FU-JI-TSU」は、中島みゆきという作詞家との奇跡のコラボレーション、そしてオリコンチャート1位獲得という輝かしい実績、そして今もなお語り継がれる数々のエピソードなど、様々な側面から見て、工藤静香の代表曲として、そして日本の音楽史においても重要な一曲として位置付けられると言えるでしょう。 その魅力は、時代を超えて人々の心を捉え続ける、不朽の名曲と言えるのではないでしょうか。

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