FV101 スコーピオンとは？意味をやさしく解説

FV101 スコーピオン

FV101 スコーピオンは、イギリスのアルヴィス社が開発した偵察戦闘車（軽戦車・空挺戦車）です。CVR（T）ファミリーの先駆けとして、1972年からイギリス陸軍への配備が開始されました。1989年1月1日の時点で1,200両以上が製造され、最終的には3,000両以上が生産されました。

特筆すべきは、その最高速度。80km/h以上を誇り、「世界最速の量産戦車」としてギネス世界記録に認定されています。

開発の経緯

1950年代後半、イギリス陸軍は、戦車を補完し、偵察・火力支援・対戦車任務を遂行するための装甲戦闘車両AVR（Armoured Vehicle, Reconnaissance）計画を開始しました。これを受けて、1960年代前半に戦闘車両研究開発部（FVRDE）が、装輪式のCVR（W）と装軌式のCVR（T）を策定しました。試作が重ねられた結果、1970年5月にアルヴィス社が2,000両の生産契約を獲得し、1972年に最初の量産モデルが完成しました。

車両の特性

スコーピオンは、輸送を考慮した小型・軽量の戦車として設計されています。装甲はアルミニウム製で、前面は14.5mm弾、それ以外は7.62mm弾に対する防御能力を備えています。主砲として、FV601 サラディン装甲車に搭載されていたL5A1 76mm砲の軽量化モデルを搭載した回転砲塔を備えています。

1980年代には、輸出向けにコッカリル 90mm低圧砲を搭載したスコーピオン90が開発されました。これにより火力は向上しましたが、重量が増加したため、機動性は若干低下しました。また、後期に輸出された車両には、ディーゼルエンジンの搭載や射撃統制装置の大幅な改修が施されたものも存在します。

実戦投入と退役

スコーピオンは、1982年のフォークランド紛争に投入されました。1988年には、他のCVR（T）シリーズと同様に、耐用年数延長プログラム（LEP）によって、ジャガー J60 4.2Lガソリンエンジンからカミンズ製BTA 5.9Lディーゼルエンジンへの換装が行われました。その後、1991年の湾岸戦争にも実戦で使用されました。

イギリス陸軍では1994年に全車が退役しましたが、海外では現在も運用されている国があります。

運用国

ボツワナ
ブルネイ
チリ
イギリス
ホンジュラス
インドネシア
イラン
アイルランド
ヨルダン
マレーシア
ナイジェリア
オマーン - 2023年時点で37両を保有
フィリピン
タイ
タンザニア
トーゴ
ベネズエラ

FV101 スコーピオン