Fa 330 (航空機)
フォッケ・アハゲリス Fa 330 バッハシュテルツェ
フォッケ・アハゲリス Fa 330、通称バッハシュテルツェ（セキレイの尾）は、第二次世界大戦中にドイツで開発された回転翼凧の一つであり、ジャイログライダーやローターカイトとしても知られています。主にドイツのUボートに艦載され、偵察任務を果たすために使用されました。
開発の背景
当時、Uボートは視界確保が非常に限られており、潜水艦の高い艦橋やマストがなかったため、海上での監視能力は乏しいものでした。敵艦からの攻撃を受けやすい状況にあり、潜水艦はさまざまな危険にさらされていました。これを受けてドイツ海軍は、海上での視認範囲を広げる手段として、組み立て式水上機Ar 231などの企画を検討しました。しかし、最終的にはシンプルな構造を持つ単座のFa 330が採用されました。
Fa 330は、Uボートの甲板上で簡単に組み立てることができるデザインで、たった二人によって組み立て作業が行われました。この機体は150mのケーブルでUボートに係留され、その状態で飛行しました。潜水艦が航行している間、自然の風がローターを回転させ、搭乗者を約120m上空に引き上げることができました。この状態では、海面からの視認距離が最大25海里（約46km）にまで広がり、Uボートの司令塔からの視界の約5海里（9km）を大きく上回ることが可能となりました。
運用とその歴史
Fa 330は主に、大西洋やインド洋におけるUボート作戦で使用されましたが、連合軍の制空権の脅威が高まったため、特定の海域での運用に限定されました。Fa 330を搭載したUボートが敵艦を沈めた唯一の戦果としては、1943年8月6日にU-177がギリシャの蒸気船Eithalia Mariを発見し、撃沈した事件が挙げられます。
1944年5月には、連合国がU-852を捕獲し、その際にFa 330も押収されました。イギリス政府はこの機体を船やジープで牽引してテストを行い、いくつかの成功を収めましたが、その時にはすでに軍事技術の焦点はヘリコプターの開発に移りつつありました。
現在の状況
現在でも数機のFa 330が博物館に展示されています。具体的には、国立アメリカ空軍博物館、イギリス空軍博物館、ダックスフォード帝国戦争博物館、ドイツ技術博物館、イギリスのミロム博物館などで見ることができます。この機体はいまだに多くの航空ファンや歴史愛好者の興味を引いており、第二次世界大戦の技術的な進歩を象徴する存在となっています。
関連項目
Fa 330はユニークな航空機の一つとして、その存在意義や技術的な背景を振り返ることで、当時の航空技術の発展を感じ取ることができるでしょう。
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