Fi 156 (航空機)

Fi 156 シュトルヒについて

Fi 156シュトルヒ（Storch）は、ドイツ国防軍が第二次世界大戦の様々な戦線で使用した多機能航空機です。この機体の名称はドイツ語で「コウノトリ」を意味し、高い短距離離着陸性能（STOL性）を誇ります。シュトルヒは、空中偵察や弾着観測、負傷兵の輸送など、ヘリコプターが実用化される以前から様々な用途に用いられました。フィーゼラー社によって1935年に開発が始まり、戦後も1950年代まで製造が続けられました。

開発経緯

1935年、ドイツ航空省は新型連絡機を製造する企業を探し、フィーゼラー社が提案した機体が公募に応じました。Fi 156Aの原型機は1936年に初飛行し、レシプロエンジンのアルグス As 10Cを搭載しました。このエンジンは180 kW（約240 HP）の出力を誇るものの、最大速度は175 km/hでしたが、その高出力がSTOL性能の向上に寄与しました。また、50 km/hという低速でも飛行が可能で、離着陸にはそれぞれ45 mと18 mの距離で対応できました。

ドイツ空軍は16機の発注を行い、1937年から運用が開始されました。

設計と特長

Fi 156の優れたSTOL性能の秘密は、主翼の設計にあります。主翼には全幅にわたる固定スラットと、隙間式のエルロンおよびフラップが装備され、着陸時の安定性を高めています。また、主翼は胴体に沿うように折り畳むことができ、輸送が容易です。

降着装置には長い脚が用いられており、オイルとスプリングのショックアブソーバーが内蔵されています。この設計により、ほぼどんな地面でも着陸が可能になるという特長を持っています。初期モデルは非武装でしたが、Cシリーズ以降は後部に防御用の機関銃が装備されるようになりました。

運用歴

Fi 156Aの成功を受けて、フィーゼラーはシリーズの改良型となるFi 156Bを提案しましたが、ドイツ空軍はその変更を重要視せず、結果的にFi 156Cに重点が移りました。Cシリーズは運用上の柔軟性を持たせたモデルで、1939年から運用が開始され、シリーズ全体では約2,900機が生産されました。特にCシリーズは戦局に応じた柔軟な運用を可能にし、様々な条件下で活躍しました。

Fi 156は戦争中、特に重要な任務にも使用されました。1943年にはムッソリーニの救出に使用されるなど、要人の移動にも役立ちました。

戦後の評価

戦後には、他国でもこの機体の派生型が製造され、特にソ連ではOKA-38アーイストとして知られるFi 156のバリエーションが生産されました。また、日本にも1機が輸出され、三式指揮連絡機の開発に影響を与えました。日本陸軍はこの機体を研究目的で使用し、新しい航空技術の習得につなげました。

結論

Fi 156シュトルヒはその高いSTOL性能によって、多様なミッションを遂行可能な多目的航空機として、第二次世界大戦全体で存在感を示しました。その独特の外見と高い機動性は、戦場だけでなく後の航空機設計にも大きな影響を与えました。

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