Flower (L'Arc〜en〜Cielの曲)

L'Arc〜en〜Ciel 5th Single 「flower」

「flower」は、L'Arc〜en〜Cielが1996年10月17日にリリースした5枚目のシングルです。前作「風にきえないで」から約3ヶ月ぶりのリリースで、アルバム『True』のレコーディング期間中に制作されました。

楽曲概要

表題曲「flower」は、アコースティックギターとブルースハープの音色が印象的な、開放感あふれるナンバーです。1990年代初頭に流行したネオアコースティックサウンドを彷彿とさせる、ポップでキャッチーなメロディーが特徴です。この曲は、hydeが初めてシングル表題曲の作曲を手がけた作品としても知られています。

hydeは、この曲について「自分がシングルを出すならこういう曲がいいというイメージが昔からあった」と語っており、1995年のライブハウスツアー中にAメロの断片が浮かび、そこから温めていたそうです。シングルとして制作するにあたり、キャッチーでありながらも媚びない、切ないメロディーを追求したと語っています。また、当時アコースティックサウンドが求められていると感じ、その時代の空気感を反映させたアレンジを施したと述べています。

カップリングには、新曲「さようなら」が収録されています。さらに、1stシングル「Blurry Eyes」から恒例となっている、表題曲のボーカルを抜いたインストバージョンも収録されています。このインストバージョンは、これまで「Voiceless Version」と表記されていましたが、本作では「hydeless version」に変更されています。

リリースとプロモーション

リリースプロモーションとして、メンバー4人が野球のユニフォーム姿になった広告が展開されました。これは、表題曲「flower」がフジテレビ系番組『プロ野球ニュース』のテーマソングに起用されたことを受けて制作されたものです。

本作は、通常盤CDの1形態でリリースされました。当初は8cmシングルでしたが、2006年の再発企画で12cmシングルとして再リリースされました。

チャート成績と評価

発売初週のオリコン週間シングルチャートでは5位を記録しましたが、前作よりもランクを下げました。しかし、ロングヒットを記録し、最終的なフィジカルの累計売上枚数は約33.6万枚を記録しました。sakura在籍時のシングルとしては最大のセールスです。

フィジカル売上とダウンロード数を合わせると50万ポイント以上を売り上げ、L'Arc〜en〜Cielの初期を代表する楽曲の一つとなりました。数多くのアルバムにも収録され、ファンからの人気も非常に高く、ベストアルバムの収録曲を決める投票では最多得票数を獲得しました。また、バンド結成15周年ライブの演奏曲目リクエスト投票では2位を記録しました。

hydeは、この曲が売れなければ「世の中か自分が間違えている」と発言するほど、自信を持って制作した楽曲だったそうです。

2019年12月には、サブスクリプションサービスで全楽曲のストリーミング配信が解禁され、表題曲はSpotifyの週間バイラルトップ50（日本）チャートで初の1位を獲得しました。この週は、TOP18までをL'Arc〜en〜Cielの楽曲が独占するという快挙を成し遂げました。

ミュージックビデオ

「flower」のミュージックビデオは、竹内スグルが監督を務めました。このビデオは、ベストアルバムの初回限定盤特典DVDやクリップ集に収録されているほか、公式YouTubeチャンネルでも公開されています。

収録曲解説

flower

作詞・作曲: hyde / 編曲: L'Arc〜en〜Ciel & Takao Konishi

アコースティックギターとブルースハープが印象的な、スウェーデンポップスを思わせる軽快な楽曲です。hydeは、1995年のライブハウスツアー中にこの曲の断片が生まれたと語っています。サビのメロディー制作に苦労したものの、メンバーやスタッフの意見を取り入れ、現在の形になりました。

アレンジでは、当時の音楽シーンを意識し、アコースティックなサウンドを取り入れています。hydeは、この曲について「時代を俯瞰で見て、売れるだろうと狙って作った曲」とコメントしていますが、近年では「大好きな曲になった」と心境の変化を語っています。

kenが演奏するサビの裏メロのアコースティックギターフレーズは、hydeも絶賛しており、この曲をより良いものにした要因の一つと語っています。また、イントロや間奏で使われているブルースハープも、hydeが仮テイクとして吹いたものがそのまま採用されたそうです。

sakuraは、レコーディングで異なるサイズのバスドラムを使い分けています。また、間奏部分ではリズムがハーフになるなど、様々な工夫が凝らされています。バックコーラスは佐々木真理が担当しています。

kenは、当初この曲にシタールを入れることも考えていたそうですが、最終的には見送られています。

hydeは、歌詞について「夢の中にいるイメージで書いた」と語っており、好きになることで生まれる切なさを表現したリリックが特徴です。

さようなら

作詞・作曲: hyde / 編曲: L'Arc〜en〜Ciel & Takao Konishi

ストリングスをフィーチャーした、優しい雰囲気の楽曲です。アルバムの最後に収録されるような曲をイメージして制作されたそうです。当初はデジタルロックのアレンジを考えていたそうですが、最終的にストリングスを取り入れた、より優しいアレンジに変更されました。

kenは、アコースティックギターのイメージをhydeから伝えられ、ヴォイシング（コードのテンション）を意識して演奏したそうです。tetsuyaは、全編フィンガーピッキングでベースを演奏しており、特に中指だけで弾くことで、音の粒を揃えています。

歌詞の中には、表題曲のタイトルとリンクした「舞い散る“花びら”が笑ってる」というフレーズが登場します。hydeはこの曲の作詞を、3時間ほどで書き上げたと語っています。

1997年のツアー以降、長らくライブで演奏されていませんでしたが、2007年のホールツアーで約10年ぶりに披露されました。

タイアップ

flower
フジテレビ系番組『プロ野球ニュース』（1996年10月〜1997年3月）テーマソング

参加ミュージシャン

hyde：Vocal, Blues Harp
ken：Guitars
tetsu：Bass
sakura：Drums
佐々木真理：Female Chorus
小西貴雄：Other Instruments
吉田潔：Manipulate

カバー

クレモンティーヌ （2012年、トリビュートアルバム『L'Arc〜en〜Ciel Tribute』に収録）
近藤真由 （2021年、カバーアルバム『マーマレード』に収録）

収録アルバム

オリジナルアルバム

『True』 (#1)

ベストアルバム

『Clicked Singles Best 13』 (#1)
『The Best of L'Arc〜en〜Ciel 1994-1998』 (#1)
『The Best of L'Arc〜en〜Ciel c/w』 (#2)
『QUADRINITY 〜MEMBER'S BEST SELECTIONS〜』 (#1、#2)
『TWENITY 1991-1996』 (#1、#2)
『WORLD'S BEST SELECTION』 (#1)

参考文献

『PATi PATi』、ソニー・マガジンズ、1996年11月号
『uv vol.12』、ソニー・マガジンズ、1996年
『WHAT's IN?』、ソニー・マガジンズ、1996年12月号
『Vicious』、シンコー・ミュージック、1996年12月号
『GiGS』、シンコー・ミュージック、1997年1月号
『uv vol.13』、ソニー・マガジンズ、1997年
『L'Arc〜en〜Ciel Box Set of The 15th anniversary in formation CHRONICLE of TEXT 01』、ソニー・マガジンズ、2006年
『THE HYDE』、ソニー・マガジンズ、2012年、著者:寶井秀人

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