G級駆逐艦 (2代)

G級駆逐艦の概要

G級駆逐艦は、イギリス海軍が1933-34年度計画で建造した駆逐艦の艦級です。ロンドン海軍軍縮条約による艦型制限下で、先行するE級、F級を基に設計を圧縮し、9隻が建造されました。ネームシップは「グレイハウンド」であり、グレイハウンド級と称されることもあります。

開発の背景

イギリス海軍は、第一次世界大戦の経験と新技術を踏まえ、1924年度から駆逐艦の建造を再開しました。まずプロトタイプとして「アマゾン」と「アンバスケイド」を建造し、その後のA級からF級にかけて、燃料搭載量増加や対潜能力強化、艦砲や水雷兵器の改良など、段階的な拡大・強化が行われてきました。しかし、ロンドン海軍軍縮条約の制約により、駆逐艦の艦型抑制が求められるようになり、1933-34年度計画では機関部の設計変更により艦型の圧縮が図られました。これがG級駆逐艦です。

設計の特徴

船首楼型、2本煙突という基本構成はC級からF級と同様です。E級の一部で採用された三脚式後檣は、さらに改良されて全艦に設置されました。

機関構成もE級以来のものが踏襲され、アドミラルティ式3胴型水管ボイラーとパーソンズ式オール・ギヤード・タービンが搭載されました。ただし、艦型圧縮のため巡航タービンは省かれました。これは、第一次世界大戦中の主機使用状況から、15ノット以下の航行頻度が低いと判断されたためです。嚮導艦「グレンヴィル」は、ヤーロウ式水管ボイラーを搭載しています。

兵装

兵装は、基本的にF級の構成を踏襲しており、45口径12cm砲（QF 4.7インチ砲Mk.IX）をMk.XVII砲架と組み合わせて4基（嚮導艦「グレンヴィル」は5基）、対空兵器として4連装12.7mm機銃が搭載されました。大日本帝国海軍の吹雪型駆逐艦に対抗し、C級嚮導艦「ケンペンフェルト」で50口径13cm砲の搭載試験が行われましたが、成績不良のためG級での採用は見送られました。

水雷兵装もF級と同様、4連装21インチ魚雷発射管2基とMk.IX魚雷の組み合わせが基本でした。しかし、1933年の演習で、夜襲時に攻撃が集中し過ぎることが判明したため、「グローウォーム」では試験的に5連装発射管2基が搭載されました。対潜戦用にはASDICと対潜爆雷投射機、対機雷戦用には2速駆逐艦掃海具が搭載されました。

第二次世界大戦勃発後は、護衛駆逐艦としての改装が行われ、20mm機銃の増設、後部魚雷発射管をバーターとした45口径7.6cm高角砲の搭載による防空火力強化、ヘッジホッグ対潜迫撃砲の搭載、爆雷搭載数の増加が実施されました。

同型艦とその後

G級駆逐艦は9隻が建造されました。後に2隻がポーランド海軍とカナダ海軍に引き渡され、ポーランド海軍の艦は戦後に一旦イギリスへ返還された後、オランダ海軍へ売却されました。

第二次世界大戦では、6隻が戦没し、1隻が全損判定を受け閉塞船として自沈させられました。結果として、終戦まで生き残ったのは外国へ貸与された2隻のみでした。

G級駆逐艦は、ロンドン海軍軍縮条約下での駆逐艦設計の一つの到達点であり、その後の戦訓を踏まえた改装も行われ、第二次世界大戦を生き抜いた艦もありました。しかし、その多くは戦争の激化とともに失われ、その歴史を終えました。

もう一度検索