GM大宇・アルフェオン

アルフェオン（ALPHEON、韓国語：알페온）は、韓国の自動車メーカーである韓国GM（旧社名GM大宇）が、2010年から2015年にかけて韓国国内市場向けに製造・販売していた高級セダンです。

このモデルは、韓国の自動車分類ではキア・K7やルノーサムスン・SM7などと同じ「準大型車」に位置づけられていました。発売当初はGM大宇のブランドでしたが、その後韓国GMに社名が変更されてからも、同社の最上級車種であることを強調するため、シボレーブランドを冠さず、独自のエンブレムを用いて「アルフェオン」という一つの独立したブランドのように展開されました。これは、当時のヒュンダイ・ジェネシスに見られた手法と同様です。

アルフェオンは、先行して2009年に北米で登場した2代目ビュイック・ラクロスを基に開発された、いわゆるバッジエンジニアリングモデルです。ただし、単にバッジを変えただけでなく、細部では韓国のユーザーの嗜好に合わせた様々な改良が施されていました。外観デザインや内装はGMの北米および中国部門が、そしてシャシーとエンジンは欧州部門（オペル）が担当するという、GMの国際的な連携によって生まれた世界戦略車としての側面も持ち合わせています。

車体サイズはかなり大柄で、市販モデルは全長4,995mm、全幅1,860mm、全高1,510mm、ホイールベースは2,837mmでした。パワートレインについては、当初は3.0Lと3.6LのV型6気筒SIDIエンジンが計画されていましたが、市販時には3.6L V6は設定されず、3.0L V6 SIDIと2.4L直列4気筒SIDIの2種類のエンジンがラインナップされました。トランスミッションは、全モデルで6速オートマチックが組み合わされています。

2011年には、韓国の準大型車としては初めてとなるハイブリッドモデル、「アルフェオンeアシスト」が追加されました。このシステムは、2.4L SIDIエンジンに17.6kWの電気モーターと高性能リチウムイオンバッテリーを組み合わせたもので、モーターがベルトを介してエンジンの駆動をアシストする方式を採用していました。これにより、特に加速や登坂時において、従来のエンジン性能に加えてモーターによるアシスト効果で性能が向上し、また税制上の優遇も受けることができました。

装備面では、高級車にふさわしい充実した内容が特徴でした。8つのエアバッグ、12ウェイ電動運転席パワーシート、Infinity製の高音質オーディオシステム、横滑り防止装置（ESC）、アクティブヘッドレスト、19インチアルミホイールなどが標準またはオプションで用意されました。内外装にはLED照明が多用され、大型のパノラマサンルーフや電動格納式リアサンシェードなども装備されました。

アルフェオンは、2010年4月の釜山モーターショーでベリタスの後継車種として初めて公開され、同年8月31日に正式に発表されました。生産は韓国国内の仁川にある富平工場で行われました。発表当時、主な競合車種として国産の現代グレンジャーやキアK7だけでなく、輸入車のレクサスES350、さらにはアウディA6やBMW 5シリーズなども意識していることを示唆するプロモーションが行われました。

「アルフェオン」という車名は、「根本的な」「最も重要な」という意味を持つ英語の「Alpha」と、「永劫（えいごう）の時間」を意味する「Eon」を組み合わせた造語であり、「永遠の名誉と評判を受けるプレミアムセダン」となる願いが込められています。

2015年12月、アルフェオンはその販売を終了し、後継車種としてインパラが登場しました。これにより、商用車のダマスとラボを除く韓国GMのラインナップは、すべてシボレーブランドに統一されることとなりました。

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