ビュイック・ラクロス

ビュイック・ラクロス

ビュイック・ラクロス（Buick LaCrosse）は、ゼネラルモーターズ（GM）によって製造され、ビュイックブランドで販売されたセダンタイプの乗用車です。

初代 (2004年 - 2009年)

初代ラクロスは、2004年後半に市場に投入されました。このモデルは、それまでビュイックブランドで販売されていたリーガルやセンチュリー、そして2004年に生産を終了したオールズモビルブランドのイントリーグを統合する形で開発されました。車台にはGMのWプラットフォームが採用され、パワートレインには、V型6気筒3.8リッターのL26型、同3.6リッターのHFV6型、そしてV型8気筒5.3リッターのLS4型エンジンが用意されました。これらのエンジンには、4T65-E型4速オートマチックトランスミッションが組み合わされました（V8モデルには高負荷対応のHD版が採用）。

発売当初のグレード体系は、エントリーモデルの「CX」、ミドルレンジの「CXL」、そしてトップグレードの「CXS」で構成されていました。CXおよびCXLにはL26型エンジンが、CXSにはHFV6型エンジンが搭載されました。

2007年には、ニューヨーク国際オートショーで翌2008年モデルが発表され、フロントグリルのデザインが刷新されました。同時に、V8エンジンを搭載する新たな高性能グレード「スーパー (Super)」がラインナップに加わり、これに伴いCXSグレードは設定が終了しました。スーパーグレードには、4T65-E HD型4速ATが組み合わされたほか、リアスポイラーの装備やサスペンションのチューニングが施されました。初代モデルは、2008年12月23日に生産を終了しました。

なお、初代の中国市場および台湾市場向けのモデルは、北米仕様とは全く異なるボディシェルを纏っていました。その外観デザインは、GMと上海汽車の合弁会社である汎亜汽車技術中心（PATAC）が手がけたものです。パワートレインには直列4気筒2.4リッターおよびV型6気筒3リッターエンジンが搭載され、北米仕様に先行して6速オートマチックトランスミッションが採用されました。さらに、中国市場向けにはハイブリッドモデルの「エコ・ハイブリッド」も設定されていました。

2代目 (2009年 - 2016年)

2代目ラクロスは、2009年の北米国際オートショーで初披露され、2010年モデルとして市場に投入されました。その後、ビュイックブランドの旗艦モデルであったルサーンが2011年に生産を終えたため、ラクロスが北米市場における新たなフラッグシップとしての地位を担うことになりました。中国市場向けのモデルも投入されましたが、2代目のエクステリアデザインは初代とは異なり、北米仕様と同様のデザインとなりました。ただし、フロントフェンダーに装着されていたGMのロゴは使用されませんでした。

車台にはGMイプシロンIIプラットフォームが採用され、デザインは2008年の北京モーターショーで公開されたコンセプトカー「ビュイック・インビクタコンセプト」をベースとしています。搭載されたエンジンは、直列4気筒2.4リッター、V型6気筒3リッターおよび3.6リッターで、いずれも6速オートマチックトランスミッションが組み合わされました。先代モデルに設定されていたV型6気筒3.8リッターやV型8気筒5.3リッターといったエンジンは、この世代では廃止されました。

カナダ市場では、2009年1月のモントリオール国際オートショーで「アリュール (Allure)」という車名で新型モデルが発表されました。また、韓国では2010年4月の釜山モーターショーで、当時のGM大宇（現在の韓国GM）が「アルフェオン (Alpheon)」という独自の車名でモデルを発表しています。アルフェオンはビュイック版と外観デザインはほぼ共通でしたが、他のGM車とは異なり、アルフェオン専用のブランドエンブレムが与えられました。

2010年11月、GMは2012年モデルのラクロス2.4リッター仕様に、省燃費技術である「eAssist」を標準装備すると発表しました。これは従来のBASマイルドハイブリッドシステムを改良した技術であり、115Vのリチウムイオンバッテリーと、最高出力11kW（15ps）を発揮するアシストモーターを備えています。このシステムにより、従来の2.4リッターモデルと比較して燃費性能が約25%改善され、市街地燃費25MPG、高速道路燃費37MPGを達成しました。2011年9月には、中国市場向けモデルにもeAssist搭載車が追加されました。

3代目 (2016年 - )

3代目モデルは、2015年11月にアメリカ合衆国で開催されたロサンゼルスオートショーで初めてその姿を現しました。市場への投入は、翌2016年3月にまず中国市場で開始されました。

車名の由来

ラクロスという車名は、スポーツ競技の一つである「ラクロス (Lacrosse)」にちなんで名付けられました。しかし、カナダのケベック地方で話されるケベック・フランス語の俗語において、「la crosse」という言葉は、自己慰安や詐欺といった不適切な意味合いを含んでいました。このため、カナダ市場では、「魅惑する」という意味を持つ「Allure（アリュール）」という別名で販売されることになりました。

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