GMC・テレイン

テレイン（TERRAIN）

テレインは、ゼネラルモーターズ（GM）によって製造され、GMCブランドから展開されるクロスオーバーSUV（CUV）です。GMCのラインナップにおいては、フルサイズのGMCアカディアに続くCUVモデルとして登場し、ブランドのエントリーモデルとしての役割を担いました。かつて販売されていた、ボディ・オン・フレーム構造を持つ中型SUVのGMCエンボイや、GMCと同じ販売網で扱われていたポンティアックのミドルサイズCUV、トレント（シボレー・エクイノックスのバッジ違いモデル）の実質的な後継モデルとしての側面も持ち合わせています。

初代モデル（2009年～2017年）

初代テレインは、2009年のニューヨーク国際オートショーでその姿を初披露しました。車体構造には、シボレー・エクイノックスやオペル・アンタラ、キャデラック・SRXなど、GMグループの複数の車種で採用されていたGMシータプラットフォームを共通して使用しています。発売当初のエンジンラインナップは、直列4気筒2.4L SIDI VVTと、V型6気筒3.0L SIDI VVTの2種類が用意されました。これらのエンジンには6速オートマチックトランスミッションが組み合わされ、駆動方式は前輪駆動（FWD）と全輪駆動（AWD）から選択可能でした。

2013年モデルへの移行に伴い、パワートレインに変更が加えられました。従来の3.0L V6エンジンに代わり、排気量が拡大された3.6L V6エンジンが搭載されたのです。この変更により、最高出力は301馬力（224kW）、最大トルクは272 lb.-ft.（369Nm）へとそれぞれ引き上げられ、走行性能が向上しました。一方で、燃費性能は旧来の3.0Lモデルと同水準を維持したとされています。生産は、シボレー・エクイノックスとともにカナダのCAMIオートモーティブで行われていました。なお、中東地域で販売されたテレインはオペル・アンタラのバッジ違いであり、北米市場向けのモデルとは異なる車両でした。

初代テレインの豪華仕様「デナリ」

2013年モデルからは、より豪華な仕様として位置づけられる「デナリ」グレードが新たに加わりました。デナリは、2.4Lおよび3.6Lエンジンの両方、そしてFWDとAWDのいずれの駆動方式とも組み合わせることが可能でした。足回りにはデュアルフローダンパーが採用され、走行安定性が高められています。装着されるホイールは、2.4Lエンジン搭載モデルには18インチが、3.6Lエンジン搭載モデルには19インチがそれぞれ装備されました。

外観においては、デナリ専用デザインのクロムグリル、独自のヘッドランプとリアランプ、サテンクロムのアクセントパーツ、そしてボディ同色でサテンクロムのモールディングが施されたロッカーパネルなど、特別な装備が与えられました。エキゾーストパイプもクロム仕様となり、2.4Lはシングル、3.6Lはデュアルタイプが採用されています。内装面では、シートやドアトリム、ステアリングホイールにジェットブラックカラーのレザーが使用され、ダッシュボードやステアリングホイールにはマホガニー調の木目パネルが配されました。運転席と助手席には8方向電動パワーシートが標準装備され、フロントシートバックにはデナリのロゴがエンボス加工されています。さらに、GMCの新しいインフォテインメントシステムであるIntelliLinkも標準搭載されるなど、内外装ともに上級グレードにふさわしい仕様となっていました。

2代目モデル（2017年～現在）

2代目テレインは、2017年1月に北米国際オートショーでワールドプレミアを飾りました。同年夏に市場投入され、パワートレインは、1.5Lと2.0Lのターボチャージャー付き直列4気筒ガソリンエンジン、そして1.6Lの直列4気筒ディーゼルエンジンの3種類から選択可能となりました。

2代目モデルは、実用性にも配慮した工夫が随所に盛り込まれています。全グレードで助手席の背もたれを前方に倒すことが可能となり、これにより最大で約8フィート（約2.4メートル）の長尺物を積載できるようになりました。また、従来のシフトレバーに代わり、スイッチ操作式のトランスミッションシフターが採用されたほか、センターコンソールの下に設けられたパススルー式の収納スペース、グローブボックス上の追加収納エリアなど、使い勝手の良い収納が特徴です。車両の装備としては、ドライバーインフォテインメントシステムや、Apple CarPlayとAndroid Autoに対応した7インチのタッチスクリーン式インフォテインメントシステム、合計4つのUSBポート（USB Type-Cを含む）、キーレス開閉およびエンジンスタート機能、走行状況に合わせて駆動特性を選択できるトラクション選択システム、空気抵抗を低減するアクティブグリルシャッターなどが搭載されています。なお、SLEおよびSLTのディーゼルモデルには、ガソリンモデルよりも充実した機能が備えられていました。

フェイスリフトモデル

2020年2月には、テレインのマイナーチェンジモデルが発表されました。当初は2021年モデルとして2020年中の発売が計画されていましたが、生産上の都合やCOVID-19パンデミックの影響を受け、リリース時期が延期されました。最終的に、2022年モデルとして2021年夏に市場に導入されています。

車名の由来

「TERRAIN」という車名は、英語で「地域」「地勢」「地形」といった意味を持つ言葉に由来しています。

もう一度検索