GPLフォント例外

GPLフォント例外（GPL+FE）とは

GPLフォント例外（GPL+FE）は、GPL（GNU General Public License）の下で配布されるデジタルフォントを、PDFなどの電子文書ファイルに埋め込む際に、そのファイル自体へのコピーレフト制約を例外的に回避するための追加条項、またはその条項付きのGPLを指します。

フォント例外条項の詳細

GPLフォント例外は、デジタルフォントのライセンスとしてGPLを採用しつつ、フォントを埋め込んだドキュメントファイルに対してGPLのコピーレフト制約を適用しないことを許可するものです。この条項を追加するには、フォントの著作者が配布するフォントに添付されたGPL条文テキストの末尾に特定の文言を追加します。

この例外条項は、あくまで「例外的に」埋め込み先のドキュメントをGPLの保護対象から外すものであり、ドキュメントが常にコピーレフトの影響を受けないことを保証するものではありません。ドキュメントをコピーレフトの保護下に置きたい場合は、フォントのライセンシーがこの例外条項を削除できます。これは、フォント例外条項がGPLの追加的な許可条項であり、ライセンシーはフォント著作者の許可なく、この条項を削除できるためです（GPLv3の第7項に規定）。

GPL+FEは、コピーレフトによるオープンソース・デジタルフォントの共有を促進するための戦略的な手法であり、SIL Open Font License（OFL）に対抗するものとして位置づけられています。

発端

GPLの発行元であるフリーソフトウェア財団（FSF）は、フォントに関しても、ライブラリのリンクと同様に、フォントを埋め込んだドキュメントがフォントの派生物や二次的著作物であると主張しています。そのため、GPLのコピーレフト要件により、原則としてGPLフォントを埋め込んだドキュメントはGPLの保護対象となり、GPLでの利用許諾が必要となります。しかし、ドキュメントのテキストが独占的な条件でのみ利用が許可されている場合など、GPLでの利用許諾が不可能な場合、その結合されたドキュメントは法的に配布できなくなる可能性があります。

このような問題を解決するために、フォント例外条項が考案されました。この条項は、2005年4月にFSFの「GPLコンプライアンス・エンジニア」であるデイヴィッド・「ノヴァリス」・ターナーによって策定されました。

評価

Free Software Magazineの編集者テリー・ハンコックは、「他にもいくつかのフリーフォントライセンスが存在するが、フォント例外条項付きGPLが最も単純かつ互換性が高い」と評価しています。

Libre Graphics Magazineのデイヴ・クロスランドは、コピーレフトフォントが、例外条項がない場合、利用するドキュメントに予期せぬ影響を与える可能性があると指摘しています。例外条項は、ドキュメントに含まれるテキストや画像などの利用条件に影響を与えることなく、フォントとドキュメントを結合することを可能にする追加的な許可条項です。現在、自由な利用を許可するフォントの多くは、SIL OFLまたはフォント例外条項付きGNU GPLのようなコピーレフトライセンスで利用が許可されています。

各コミュニティの対応

レッドハットのFedoraプロジェクトは、2007年にFedora Linuxと共に配布するLiberation fontsパッケージ（GPLv2）のライセンスにフォント例外条項を追加しました。このライセンス制限に対する議論はDebianコミュニティにも広がり、GPL+FEを懸念するメンバーの間で議論を呼びました。

Ubuntuコミュニティは、FedoraとDebian両コミュニティの注意喚起を受け、SIL OFLをベースとしたUbuntu Font Licenceを策定しました。独自のライセンスを策定したのは、SIL OFLもGPL+FEも彼らにとって満足のいくものではなかったためです。

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