GStreamer

GStreamer（ジーストリーマー）は、LGPLライセンスで提供される自由なマルチメディアフレームワークです。C言語で記述されており、主にUNIX系OSで開発が進められていますが、クロスプラットフォームでの利用を考慮した設計がなされています。ビデオ編集ソフト、ストリーミングアプリケーション、メディアプレーヤーなど、多岐にわたるマルチメディアアプリケーションの基盤として機能を提供します。

対応OSはLinux (x86, PowerPC, ARM)、Solaris (x86, SPARC)、Open[[Solaris]]、FreeBSD、OpenBSD、macOS、Windows、OS/400と幅広く、様々な環境で利用できます。GStreamerの特筆すべき点は、ユーザーがライブラリを組み合わせることで、グラフ構造の処理パイプラインを自由に構築できる点です。これにより、柔軟なメディア処理が可能になります。

フレームワークの核となる部分以外は、プラグインライブラリ群として構成されています。これらのプラグインは動的にロードされ、多種多様なコーデック、コンテナフォーマット、出力ドライバをサポートしています。これにより、新しい技術やフォーマットへの対応も容易です。また、Python、Vala、C++、Perl、GNU Guile、Rubyといった様々なプログラミング言語でのバインディングも提供されており、開発者は自身の得意な言語でGStreamerを利用できます。

GNOMEデスクトップ環境はGStreamer技術の初期からの主要なユーザーであり、GNOMEアプリケーションにおけるマルチメディア機能の実装をGStreamerが支援しています。また、KDEのメディアプレーヤーであるAmarokなど、他のアプリケーションでもGStreamerは採用されています。KDE 4では標準のマルチメディアフレームワークとなる予定でしたが、ABIの頻繁な変更により、KDEでは新たにPhononが開発されることになりました。ただし、PhononではバックエンドとしてGStreamerを利用することが可能です。

GStreamerは、スマートフォンやタブレットなどの組み込み機器でも広く利用されており、Palm Pre、Maemo、Tizenといったデバイスで採用されています。ソフトウェアコーデックだけでなく、OpenMAX IL (Linux)、DirectShow (Windows)、QuickTime (macOS) などを通じてOSのコーデックを再利用したり、ハードウェアコーデックを呼び出したりできます。さらに、FFmpeg (libav) を介してコーデックを利用したり、VPUベンダーのハードウェアコーデックプラグインを利用したりすることも可能です。

このプロジェクトは、freedesktop.orgでホストされており、フリーなデスクトップ環境間での相互運用性を向上させ、技術を共有することを目的としています。

歴史

GStreamerプロジェクトは、1999年にErik Walthinsenによって設立されました。オレゴン大学院大学の研究プロジェクトから多くの核となるアイデアが生まれ、Wim Taymansが初期からプロジェクトに参加し、システムを多方面に拡張しました。世界中の多くの開発者が様々な面で貢献しています。ロゴは、組み込みLinux企業であるRidgeRunに勤務するBrock A. Frazierによってデザインされました。RidgeRunは、小型機器へのGStreamer組み込み方法の開発を目的としてErik Walthinsenを雇用し、GStreamerの最初のスポンサーとなりました。

脚注

特になし

関連項目

オープンソースのコーデックとコンテナフォーマット一覧
オープンソースのメディアプレーヤー一覧

外部リンク

公式ウェブサイト
GStreamerアプリケーション開発マニュアル （英語）
あしたのオープンソース研究所
GStreamerを利用したアプリケーションソフトの一覧
* GStreamer概要 - SourceForge.JP Magazine

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