Maemo

Maemoとは

Maemo（マエモ）は、ノキアが開発したスマートフォンおよびInternet Tabletシリーズ向けのオペレーティングシステムです。当初は「Internet Tablet OS」と呼ばれていました。このOSは、ハンドヘルドデバイス向けの他のOSと同様に、アプリケーションや設定にアクセスできる「ホーム」画面を中心に構成されています。ユーザーは、このホーム画面からさまざまな機能やアプリにアクセスできます。

インターフェースの特徴

Maemoのインターフェースは、直感的な操作を可能にするように設計されています。

ホーム画面: すべての操作の中心となる画面で、アプリケーションの起動、メニューアクセス、カスタマイズが可能です。
タスクバー: 画面左端に縦に配置され、ウェブブラウザや通信アプリなど、頻繁に使う機能へのアクセスを提供します。表示内容はカスタマイズ可能です。
メニューバー: 画面上端の左半分に位置し、現在開いているアプリケーションの名前やウィンドウタイトルを表示。アプリケーションのメニュー（File、Editなど）へのアクセスを可能にします。
ステータスバー: 画面上端の右半分に位置し、バッテリー残量、無線接続状況、音量、Bluetoothなどの情報を表示します。表示内容はカスタマイズ可能です。
ホームアプレット: ホーム画面の大部分を占め、RSSリーダー、インターネットラジオプレーヤー、検索ボックスなどを表示します。これらはユーザーが自由にカスタマイズできます。

操作は、タッチスクリーン、方向パッド、セレクトボタン、バック/メニュー/ホームボタンを用いて行います。文字入力は手書き文字認識やソフトウェアキーボードに加え、ハードウェアキーボードも利用できます。また、MicroBウェブブラウザが標準装備されており、Adobe Flashにも対応。無線接続により、ウェブサイトの閲覧や情報のダウンロードが可能です。

Maemoの構成要素

MaemoはDebian GNU/Linuxをベースにしており、GUIはX Window Systemを基盤としています。ウィンドウマネージャにはMatchboxを採用。GUIフレームワークにはGTKツールキットとHildonウィジェットが使われています。また、システムリソースを効率的に利用するため、BusyBoxを使用しており、メモリとストレージの消費を抑えています。

サウンドサーバーにはESD、メディアプレーヤーにはGStreamerが採用され、多様なファイル形式に対応。GStreamerプラグインを拡張することで、サポートするファイル形式をさらに増やすことが可能です。ウィンドウ管理はMatchboxによって行われ、一度に一つのウィンドウのみが表示されます。

ソフトウェアとアプリケーション

Maemoには、MozillaベースのMicroBブラウザ、Adobe Flash、Gizmo5、Skypeなどのアプリケーションが標準で搭載されています。アプリケーションマネージャを使うことで、さまざまなリポジトリからソフトウェアをインストールできます。APTとdpkgを使用することも可能です。

サードパーティ製アプリケーション

MaemoはLinuxベースであるため、多くのサードパーティ製アプリケーションが利用可能です。以下は代表的なものです。

メディアプレーヤー: Canola、MPlayer
インターネット: Claws Mail、Modest、Midori
オフィスアプリケーション: Gnumeric（表計算）、Abiword（ワープロ）
インスタントメッセンジャー: Pidgin
VOIP: Gizmo5、Skype
ゲーム: The Battle for Wesnoth
その他: FBReader（電子書籍リーダー）、GPE（PIM）、rdesktop（リモートデスクトップ）、ScummVM（ゲームエミュレータ）、Wayfinder（GPSナビ）、Free42S（電卓エミュレータ）、gPodder（ポッドキャスト）、Vagalume（音楽プレーヤー）などがあります。

さらに、ARM Debianディストリビューションをインストールすることで、OpenOffice、Firefox、Java、GNOMEデスクトップといったアプリケーションも利用できます。

対応ファイル形式

Maemoは以下のファイル形式に対応しています。

ビデオ: MPEG-1, MPEG-4 ASP (H.263), RealVideo, AVI, 3GP
オーディオ/プレイリスト: MP3, RealAudio, MPEG-4, AAC, WAV, AMP, MP2, AMR, AWB, M4A, WMA, OGG/Vorbis（アドオンが必要）, M3U, PLS
画像/アニメーション: JPEG, GIF, BMP, TIFF, PNG, SVG Tiny, ICO
テキスト/レイアウト: テキストファイル, PDF, HTML

ソフトウェア開発

Maemo用のソフトウェアは、C言語、Java（Jalimo JVM）、Python、Ruby、Monoなどで開発できます。Maemo SDKはDebian指向のScratchbox Cross Compilation Toolkitをベースとしており、開発環境を提供します。開発はx86環境で行い、最終的なパッケージングをARMEL環境で行うことが可能です。

ハードウェア

Maemoは主にノキアのInternet Tablet向けに設計されています。これらのデバイスは、TI OMAPプロセッサ、大画面ディスプレイ、拡張可能なストレージを特徴としています。プラットフォームを限定することで高度な最適化が実現されていますが、OSの非プロプライエタリ部分やサードパーティ製アプリケーションは、他のDebianやディストリビューション向けにパッケージ化されており、さまざまなハードウェアでの動作も可能です。

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