HI・TOUCH-HI・TECH

EPOの5枚目のオリジナルアルバム『HI・TOUCH-HI・TECH』は、1984年2月21日にDear Heart / RVCからリリースされました。このアルバムは、Dear Heart/RVC在籍時代最後のオリジナル作品であり、当時の音楽シーンと社会背景を反映した意欲作として注目を集めました。

アルバムには、高見知佳に提供した「くちびるヌード」のセルフカバーをはじめ、シュガー・ベイブの「こぬか雨」のカバー、伊東ゆかりのアルバムに提供した「告白」をタイトル変更した「赤い媚薬」、そして『オレたちひょうきん族』のエンディングテーマとして親しまれた「涙のクラウン」など、多彩な楽曲が収録されています。特に、M-1「恋はハイ・タッチ-ハイ・テック」は、M-3「くちびるヌード・咲かせます」とのカップリングで、アルバム発売から約2週間後にシングルカットされ、話題を呼びました。

当時の社会情勢として、″テクノ″という言葉が流行し、技術的な進歩が急速に進んでいました。しかし、評論家の間では、機械的なものが普及するにつれて、人間は手触りの良いものや人間らしいものを求めるようになるという説が唱えられていました。このような時代背景を受け、『HI・TOUCH-HI・TECH』というアルバムタイトルは、前作『VITAMIN E・P・O』と同様に、技術と人間の共存を理想とし、「進歩した技術と人間とで仲良くやっていきましょう」というメッセージが込められています。このタイトルは、当時の社会におけるテクノロジーと人間の関係性に対するEPOの深い洞察と、未来への希望を表現しています。

アルバムの参加ミュージシャンも豪華で、キーボードとLinn Drumsには清水信之、シンセサイザープログラミングには松武秀樹、ギターには村松邦男、ベースには富倉安生と後藤次利、Simmons Drumsには鈴木さえ子とEPO、アコースティックピアノには乾裕樹、サックスには矢口博康とJake H. Conception、トランペットには数原晋が参加しています。また、バックボーカルにはEPOの他、安部恭弘、小山かおる、坂井利衣、清水信之が参加し、多彩なサウンドを支えています。

『HI・TOUCH-HI・TECH』は、LPとCTで発売され、後にCDとBlu-spec CD2でも再発売されました。収録曲は、LP版、CT版、CD版、Blu-spec CD2版で共通です。このアルバムは、音楽ファンだけでなく、当時のテクノロジーと社会の関係に関心を持つ人々にも注目されました。

コンピュータ専門誌「MSXマガジン」に掲載されたレビュー記事では、このアルバムでEPOのスタイルが確立されたと評価されています。同時に、さらなる進化を期待し、全く異なるジャンルへの挑戦も提案されており、当時の音楽シーンにおけるEPOの存在感と、今後の可能性を示唆するものとして注目を集めました。

本作は、EPOの音楽キャリアにおいて重要な転換期を象徴する作品であり、その後の音楽活動にも大きな影響を与えました。テクノロジーと人間性の調和という普遍的なテーマを、EPOならではの洗練された音楽性で表現した『HI・TOUCH-HI・TECH』は、時代を超えて聴き継がれるべき名盤です。

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