Hadou

稲葉浩志 4thオリジナルアルバム『Hadou』

『Hadou』（ハドウ）は、B'zのボーカリスト稲葉浩志が2010年8月18日に発表した4枚目のオリジナルアルバムです。前作『Peace Of Mind』から約6年ぶりとなる本作は、先行シングル「Okay」に加え、TBS系『NEWS23クロス』のエンディングテーマ「この手をとって走り出して」や、アニメ『結界師』のエンディングテーマとして話題を呼んだ「赤い糸」など、多彩な楽曲が収録されています。

アルバム概要

本作のテーマは「波動」。稲葉は、「目の前にいる人だけでなく、遠くにいる人、自分の思っている人と波動でつながっている」という感覚を表現したかったと語っています。アルバムタイトルは、当初3曲目収録の「The Morning Call」の仮タイトルでしたが、最終的にアルバム全体のテーマを象徴するものとして採用されました。漢字表記ではなくローマ字表記にしたのは、「波動」という言葉から連想されるイメージに固定されるのを避けたかったためです。

楽曲制作は、リリースの5年前からB'zの活動と並行して、稲葉が自宅スタジオでアレンジャーの寺地秀行と共に進められました。リリースを特に意識せず、思いつくままに制作された楽曲は32曲にも及んだといいます。カバー曲も制作されたものの、ほとんどの楽曲には歌詞が付けられていませんでした。しかし、2009年に入るとリリースを意識し始め、歌詞の制作を開始。2004年の初のソロツアーの経験から、ライブでの演出もイメージしながら制作が行われました。

発売初週には12.7万枚を売り上げ、オリコン週間アルバムランキングで初登場1位を獲得。これにより、稲葉は1990年代、2000年代、2010年代と、3つの年代でオリジナルアルバム1位を獲得するという記録を達成しました。これは、サザンオールスターズ、徳永英明、SMAPに続く4組目の快挙です。

収録曲

CDには全15曲が収録されており、以下のような特徴があります。

LOST: アルバムの導入となるインストゥルメンタル。稲葉のソロ曲の中で最も短い演奏時間となっています。
絶対(的): アップテンポなロックナンバー。
The Morning Call: タイトルがアルバムタイトルにも影響を与えた楽曲。
Okay: 先行シングルとしてリリースされた楽曲。
Lone Pine: バラード調の楽曲。
エデン: エモーショナルなロックナンバー。
CAGE FIGHT: 宇浦冴香に提供した楽曲のセルフカバー。歌詞は新たに書き直されています。
今宵キミト: ミディアムテンポの楽曲。
この手をとって走り出して: 『NEWS23クロス』のエンディングテーマとして起用された楽曲。
去りゆく人へ: こちらも宇浦冴香に提供した楽曲のセルフカバー。歌詞は新たに書き直されています。
不死鳥: ライブで演奏されるまでに時間を要した楽曲。
主人公: メッセージ性の強い楽曲。
リトルボーイ: ポップな雰囲気の楽曲。
赤い糸: アニメ『結界師』のエンディングテーマとして発表されてから、CD化を待ち望まれていた楽曲。
イタイケな太陽: 長い無音の後、隠しトラックが収録。アコースティックギターとハンドクラップのみで構成された短い楽曲。

初回限定盤には、過去のソロ作品のミュージックビデオを収録したDVDが付属しており、映像作品としても楽しむことができます。

参加ミュージシャン

本作には、以下のミュージシャンが参加しています。

稲葉浩志: ボーカル、全曲作詞・作曲・編曲、アコースティックギター、ブルースハープ
寺地秀行: 全曲編曲
シェーン・ガラース: ドラム、シェイカー
スティーヴィー・サラス: ギター、エレクトリックギター
ラファエル・モレイラ: ギター、エレクトリックギター
ジャラ・ハリス: ベース
コリー・マコーミック: ベース
小野塚晃: ピアノ、オルガン
林こずえ: ストリングス、ヴァイオリン
Lime Ladies Orchestra: ストリングス
大賀好修: スライドギター、アコースティックギター
勝田一樹: サックス
栗原尚子: ヴァイオリン
三品芽生: ヴィオラ
島津由美: チェロ
上石統: トランペット
渡辺ファイアー: アルトサックス
東條あずさ: トロンボーン
武田和大: バリトンサックス

まとめ

『Hadou』は、稲葉浩志の音楽的な探求心と表現力が結実した作品であり、ロック、バラード、ポップなど、様々なジャンルの楽曲が収録されたバラエティ豊かなアルバムです。初回限定盤のDVDとともに、稲葉浩志のソロ活動の軌跡を辿る上で欠かせない一枚と言えるでしょう。

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