Half-Life: Alyx

『Half-Life: Alyx』

『Half-Life: Alyx』は、Valveが開発・発売した2020年のバーチャルリアリティ（VR）ファーストパーソン・シューティングゲームです。この作品は、『Half-Life 2』（2004）の前日譚であり、プレイヤーはアリックス・バンスとして、地球を占領するエイリアン勢力「コンバイン」と戦います。

ゲームプレイ

本作はVR専用に設計されており、Valve Index、HTC Vive、Oculus Riftなど、様々なPC互換VRヘッドセットに対応しています。VR環境を活かしたインタラクションが特徴で、プレイヤーはグラビティグローブを使ってオブジェクトを操作し、環境との関わりを通してゲームを進めます。


『Half-Life: Alyx』は、ハーフライフ2でゴードン・フリーマンが帰還する5年前を舞台としています。プレイヤーはアリックス・バンスとなり、父イーライと共にコンバインに抵抗します。本作は、『ハーフライフ2』とほぼ同じ長さの「ハーフライフストーリーの次の部分」と位置づけられています。VRを駆使して物資の入手、インターフェースの操作、オブジェクトの投擲、戦闘を行います。グラビティグローブはハーフライフ2のグラビティガンのように重力を操作できるデバイスであり、探索、パズル、戦闘、物語など、ハーフライフの伝統的な要素が復活します。本作では、片手で操作できる武器デザインにより、プレイヤーは常に世界とインタラクションが可能です。

プロット

ゴードン・フリーマンがシティ17に到着する5年前、アリックスと父イーライはコンバインに捕らえられます。ラッセルというレジスタンスメンバーの助けでアリックスは救出されますが、イーライはコンバインの刑務所へと移送されそうになります。

アリックスは列車を脱線させることに成功し、ボーティガンツがイーライを救出します。イーライはアリックスにコンバインが「Vault」と呼ばれる超兵器を隔離ゾーンに保管していることを警告し、移動前に盗むよう指示します。アリックスは隔離ゾーンでコンバイン兵士やXenエイリアンと戦いながらVaultを目指します。

Vaultに近づくと、アリックスはVaultを十分に保護できていないことに苛立つ謎の女性と出会います。女性がブラックメサ事件の生存者、すなわちゴードン・フリーマンについて言及したことから、アリックスはVaultにゴードンがいると推測します。

アリックスはコンバインの治安部隊を突破し、Vault内部に入ります。Vaultはアパートの内部のような構造をしており、時空が歪んだようなシュールな空間でした。アリックスは中心部でG-マンを発見します。G-マンはコンバインの監禁から解放された見返りに、アリックスに「雇い主」の意思に従って行動するよう促します。そして、コンバイン・アドバイザーに殺される運命にあるイーライを救う機会を与えます。アリックスはアドバイザーを殺してイーライの運命を変えます。G-マンは、ゴードンに不満を持っていたため、アリックスを自分の代わりになれると判断します。そしてアリックスを静止空間に閉じ込めます。

エンドクレジット後、ハーフライフ2のエピソード2の終わりに場面が切り替わり、レジスタンスのホワイトフォレスト基地でゴードンはイーライは生きているものの、アリックスが行方不明になったことを知ります。イーライはG-マンが彼女を連れ去ったことに気づき、復讐を誓います。そしてゴードンにバールを渡し「私達にはやるべき仕事がある」と伝えます。

開発

『Half-Life 2: Episode Two』以降、ハーフライフシリーズの新作開発は何度か頓挫していました。Valveはエピソード形式の開発を放棄し、新しいSource 2エンジンを完成させることに注力しました。

2015年、ValveはHTCと共同でVRヘッドセットHTC Viveを開発しました。VRゲームの可能性を探る中で、Valveは2016年にVRミニゲーム集『The Lab』を発売。より野心的なVRゲームを求める声に応え、ハーフライフを題材としたVRゲームの開発に着手しました。

開発チームはハーフライフ2のデータを利用してプロトタイプを構築し、VRに最適化されたシステムを検討しました。VRでの射撃は、マウスやキーボード操作とは異なるため、ゲームデザインのあらゆる側面を調整する必要がありました。2016年から本格的な開発が開始され、開発チームはValve史上最大規模の約80名となりました。

脚本はジェイ・ピンカートン、ショーン・ヴァナマン、そして請負業者として復帰したWolpawが担当。音楽は、過去のハーフライフゲームの作曲家ケリー・ベイリーと協力してマイク・モラスキーが担当しました。アリックスの声優はOzioma Akaghaが務め、過去作では無口だった主人公に代わり、ストーリー性を高めています。イーライ役にはジェームズ・モーゼス・ブラック、ラッセル役にはリス・ダービーが新たに起用されました。本作は、コンテンツと物語の両面からハーフライフシリーズの入門編となることを目指しています。

2019年11月、本作の存在が発表され、Valve Index所有者には無料で提供されました。また、ゲームの販売促進のため、ハーフライフシリーズの過去作が2020年1月から発売まで無料で提供されました。

反響

本作の予告編は公開から24時間以内に1000万回以上視聴され、多くのファンを興奮させました。一方で、VR専用であることに失望する声もありました。

Valve Indexは、発表から1週間以内にアメリカ、カナダ、ヨーロッパで完売し、2020年1月中旬には31の地域全てで完売しました。また、本作の発表によってValveは2019年第4四半期にIndexを10万3000台販売し、この四半期で最も売れたPC用VRヘッドセットとなりました。

本作を購入したユーザーは、様々な遊び方を動画などで紹介しました。例えば、野外トイレの個室をシェルターやアイテム入れとして使ったり、学校の自宅学習期間中にゲーム内で復習動画を収録したりするなどの事例が報告されました。

評価

本作は、レビュー収集サイトMetacriticで世界的に高い評価を得ています。VRの「キラーアプリケーション」として、そのグラフィック、演技、脚本、そして懐かしさが称賛されました。

発売前にTechRadarのビック・フッドは、本作をハーフライフ3ではないものの、シリーズの継続を見ることができて素晴らしいと評価しました。ビジネスインサイダーのケビン・ウェッブは、本作がVR業界に新たな関心を呼び起こすだろうと述べています。

外部リンク

Half-Life: Alyx

Half-Life: Alyx - Steam

Half-Life: Alyx - YouTubeチャンネル

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