Hs 132 (航空機)

ヘンシェル Hs 132



ヘンシェル Hs 132は、第二次世界大戦期間中にドイツで試作されたジェット急降下爆撃機です。本機は、単座式であり、特にパイロットが伏臥式で搭乗するユニークな設計が特徴です。この構造は、高速急降下に伴う重加速(G)から乗員を守るためのアイデアに基づいています。この結果、機体は非常にスリムな形状に仕上がりました。主翼と尾翼は木製で、胴体は金属製、エンジンは機体の背面に配置されています。また、その姿はHe162サラマンダー戦闘機と似た特徴を持っています。

開発の経緯



1943年の2月18日、連合軍の進攻が懸念される中で、空軍は上陸作戦を支援するための攻撃機の開発に各メーカーからの提案を求めました。当初、空軍はレシプロエンジンの搭載を考えていましたが、ジェットエンジンの実用化が近づいていることをメーカーが指摘し、1943年10月にはJumo004またはBMW003エンジンを搭載する要件に変更されました。この要求に応じたブローム・ウント・フォス、ヘンシェル、ユンカースの三社から最終的にヘンシェルの案が選ばれ、1944年4月から風洞実験が始まりました。

機体構成



Hs 132の機体は、主翼が中翼配置の単葉、尾部は上反角の付いた水平安定板と垂直安定板で構成されています。降着装置は前脚式の引込式で、主翼はほぼ全体が木製であり、強いテーパーを持つ設計となっています。主翼の内側にはフラップも装備されています。胴体は金属製で円形の断面を持ち、パイロット席は機首部に配置されています。前方にはガラス張りの風防が設けられ、前脚は後方に振り上げて収容されます。

エンジンは主翼の位置に取り付けられ、空気吸入孔は操縦席のすぐ後ろに位置しています。エンジンカウリングは、胴体上面に自然に収まるようなデザインが施されています。補助翼やその他の動翼にはトリムタブが設けられていますが、急降下ミッション用のダイブブレーキは搭載されていません。

サブタイプ（計画のみ）



Hs 132は、いくつかの異なるサブタイプが計画されました。

また、主翼を大きくした改良型に関しても検討があったとされています。

スペック



  • - 全長: 8.90 m
  • - 全幅: 7.19 m
  • - 主翼面積: 14.80 m²
  • - エンジン: BMW003（推力 800 kg）
  • - 最大速度: 780 km/h
  • - 武装: 20 mm ×2、爆弾500 kg
  • - 乗員数: 1名

Hs 132は、1945年の春に原型機が完成しましたが、テスト前にドイツの敗戦が訪れ、完成間近の3機はソ連赤軍に鹵獲され、本国に持ち帰られてテストが行われました。

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。