ICE×∞王座

ICE×∞王座

ICE×∞王座（アイ・シー・イー・クロス・インフィニティおうざ）は、日本の女子プロレス団体であるアイスリボンが管理・認定するシングル王座です。この王座の名称に含まれる「ICE」は「Innocent Candies Evolution」を、「∞（インフィニティ）」は「体重無制限（Infinity）」をそれぞれ意味しています。団体の最高峰タイトルとして位置づけられています。

ICE×60王座としての創設と歴史

このタイトルの起源は、2008年に真琴によって創設されたICE×60王座に遡ります。創設当初は、体重60kg以下の選手を対象としたタイトルであり、比較的軽量級の選手が中心となるアイスリボンにおいて、団体の象徴、いわゆる至宝として初期から重要な存在でした。当時の試合時間は20分1本勝負と定められていました。

ICE×60王座時代には、その特徴として厳格な体重制限ルールが設けられていました。挑戦者は試合当日までに体重を60kg以下に減量することが求められ、試合直前の計量が義務付けられていました。もし規定体重をオーバーした場合は、タイトルマッチそのものが行われないという厳しい条件でした。また、王座を獲得した後も60kg以下を維持できなければ王座を返上する必要があり、さらにはフルタイムでの引き分けでも王座が剥奪されるという異例の規定が存在しました。

初代王座は聖菜が獲得し、その後は市来貴代子へとタイトルが移動しました。2009年10月には、さくらえみが王座を獲得。自らの体重管理と戦いながら、10度という多さの連続防衛記録を樹立し、体重制限のあるタイトルマッチの可能性を示しました。2010年8月27日には、当時USTREAMで配信されていた「19時女子プロレス」で初のタイトルマッチとして組まれ、JWP女子プロレス所属のコマンド・ボリショイが他団体所属選手として初めてこの王座を獲得しました。また、2011年10月9日には、みなみ飛香がイギリスのプロレスリングEVE遠征時にシャナを相手に防衛戦を行い、この王座にとって初の海外での選手権試合となりました。

体重制限の撤廃とICE×∞王座への移行

女子プロレス界において体重制限のあるタイトルは他に類を見ない特徴でしたが、創設者である真琴の退団や、団体内で体重が60kg前後に達する、あるいはそれを超える選手が増加してきたことなどを背景に、体重制限を撤廃し無差別級タイトルへ移行することが検討されるようになりました。この動きは、同時期に19時女子プロレスの終了に伴いIW19王座が封印されることが決まったことと関連して進みました。当時のICE×60王者であったつくしと、IW19王者であった藤本つかさの間でダブルタイトルマッチが実施され、これに勝利し両王座を事実上統一した藤本が、試合後に体重制限の撤廃を正式に宣言しました。そして、自身の無差別級王座としての最初の防衛戦の相手として、格闘技色の強い豊田真奈美を指名しました。

こうした流れを受け、2013年7月14日に体重別階級が正式に廃止され、王座名も現在のICE×∞王座へと変更されました。同時に、試合時間も従来の20分から30分に拡大されました。

ICE×∞王座以降

ICE×∞王座への改称後、タイトルマッチはアイスリボンの主要大会において必ずメインイベントとして行われることが通例となり、挑戦者も原則として所属選手に限定されるという運用が続いています。2020年11月12日には、当時の王者であった鈴季すずが移動中にベルトを紛失するというアクシデントが発生し、一時的に前身であるICE×60のベルトが代替として使用される異例の事態となりました。その後、2021年1月23日に2代目となるICE×∞王座ベルトが完成。この日の王座戦で勝利した藤本つかさが、初代ベルトと同様に最初に新しいベルトを腰に巻くこととなりました。

主な記録

この王座における特筆すべき記録としては、藤本つかさ選手が圧倒的な数字を残しています。

最多戴冠回数：藤本つかさ（7回）
最多連続防衛回数：藤本つかさ（11回）
* 最多通算防衛回数：藤本つかさ（42回）

これらの記録は、藤本つかさが長きにわたり団体の中心選手としてICE×∞王座を保持してきた歴史を物語っています。

※歴代王者の詳細リストは省略します。

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