IMac G5

iMac G5：PowerPC時代の終焉を飾る一体型デスクトップ

iMac G5は、2004年8月から2006年3月にかけてAppleによって製造・販売された一体型パーソナルコンピュータです。このモデルは、PowerPCプロセッサを搭載した最後のiMacシリーズであり、Mac OS 9アプリケーションをClassic環境で動作させることができた最後の機種でもありました。2006年1月には、iMac G5のデザインを踏襲しつつ、Intelプロセッサを搭載した新しいiMacに置き換えられ、PowerPCからIntelへの移行期を象徴するモデルとなりました。

iMac G5の開発背景

2004年8月に発表されたiMac G5は、デザインを大きく刷新しました。当時、PowerPC 970プロセッサ（Power Mac G5に搭載）は、発熱量が大きく、大型ケースと複数の冷却ファンが必要でした。しかし、Appleは、このPowerPC 970FXプロセッサを、一体型デザインに組み込むことに成功しました。iMac G5は、iMac G4と同様に17インチと20インチのワイドスクリーンLCDを採用し、メインロジックボードと光学ドライブをLCDパネルのすぐ後ろに配置しました。これにより、厚みのあるデスクトップLCDモニタのような外観を実現しました。

薄型デザインと冷却システム

iMac G5の筐体は、厚さ約5cmという薄さを実現し、アルミ合金製のスタンド（VESA取り付けプレートと交換可能）で支えられていました。高度な冷却システムにより、CPU負荷が低い状態では非常に静かで、Appleは「市場で最もスリムなデスクトップコンピュータ」と発表しました。この冷却システムはオペレーティングシステムによって制御されていました。

モデルの変遷

2005年5月には、iMac G5 Ambient Light Sensor（ALS）モデルが発売されました。このモデルでは、RAMの増設、ハードドライブ容量の増加、GPUのアップデート、ギガビットイーサネット、AirMac Extreme (802.11g)、Bluetooth 2.0 + EDRなどの機能が強化されました。

2005年10月には、最後のiMac G5であるiSightモデルが発売されました。このモデルには、LCDの上にiSight Webカメラが追加され、プロセッサの高速化、RAMの増設、ハードドライブの容量増加、グラフィックスの向上などが施されました。特に、DDR2 SDRAMがAppleのパソコンとして初めて採用されました。ウォールストリートジャーナルのウォルト・モスバーグは、iMac G5 (iSight)を「デスクトップPCの金字塔」と評しました。

iMac G5 (iSight)の特徴

iMac G5 (iSight)は、外観は以前のモデルと似ていますが、内部構造は刷新され、よりスリムになりました。冷却性能とパフォーマンスが向上し、スタンドをVESAマウントに交換することはできなくなりました。筐体は正面からのみ開けることができ、内部コンポーネントにアクセスするにはLCD画面を取り外す必要がありました。Appleは、ハウジング底部の小さなドアからアクセスできるメモリ交換以外のユーザーによる修理を推奨しませんでしたが、ハードドライブや光学ドライブなど他のコンポーネントの交換をサポートする多くのガイドがインターネット上に公開されました。ただし、ユーザーによる修理はAppleの保証を無効にしました。

Intel Macへの移行

Appleは、MacをIntelアーキテクチャへ移行する計画を発表し、2006年1月10日にiMac G5は、外観が変わらないIntelベースのiMacに置き換えられました。この移行はわずか6ヶ月で完了しました。

iMac G5 のビデオと電源に関するリペアエクステンションプログラム

初期のiMac G5には、電源やビデオ回路の不具合が報告され、Appleは2005年8月から購入日から2年間の無料修理サービスを提供しました。

まとめ

iMac G5は、PowerPCアーキテクチャの終焉を飾るモデルであり、その革新的なデザインと性能は、後のiMacシリーズに大きな影響を与えました。また、ユーザーによる修理が可能であった点も、当時のコンピュータ業界において特筆すべき点です。iMac G5は、Appleの歴史において重要なマイルストーンであり、多くのユーザーに愛された名機と言えるでしょう。

もう一度検索