INSPIRE (カシオペアのアルバム)

カシオペア / INSPIRE

『INSPIRE』（インスパイヤー）は、日本のインストゥルメンタル・フュージョン界を牽引してきたバンド、カシオペアが2007年11月7日にリリースした、記念すべき36枚目のスタジオアルバムです。この作品は、彼らの長年にわたる活動の中で積み重ねてきた経験と技術が融合した、円熟味あふれるサウンドを提示しています。

アルバム発売と同時に、特にギタリストからの要望に応える形で、ギターパートを排除したインストゥルメンタルCD『CASIOPEA Plays Guitar MINUS ONE INSPIRE』（カタログ番号：GNCT-1002）も市場に投入されました。これは、リスナーが自らギターを演奏してバンドサウンドに参加できるという、インタラクティブな試みとして注目を集めました。

本作のレコーディングには、当時のカシオペアのレギュラーメンバーである野呂一生（エレクトリック・ギター）、向谷実（キーボード）、鳴瀬喜博（ベース）が参加しています。特に鳴瀬喜博は、ベース演奏に加えて特定の楽曲（M4, M7, M9）においてプログラミングも担当し、サウンドに多様な彩りを加えています。

さらに、バンドのサウンドを力強く支えるドラムには、長年にわたりカシオペアのサポートドラマーとして活躍してきた神保彰が迎えられています。神保彰の卓越したドラミングは、アルバム全体のグルーヴとダイナミズムを決定づける重要な要素となっています。彼の参加は、この時期のカシオペアサウンドにとって欠かせない存在であったことを改めて示しています。

アルバム『INSPIRE』の制作には、多くの専門家が携わっています。サウンドプロデュースはバンド自身であるカシオペアが行い、その音楽的な方向性を決定しました。レコーディング・エンジニアおよびミックス・エンジニアは志村広行が担当し、ミキシング作業においてはギタリストの野呂一生も共同で携わっています。アシスタント・エンジニアとして大川誠と山口忠が名を連ねています。

マスタリング・エンジニアは小鐵徹が担当し、最終的なサウンドの質感とバランスを整えました。また、マニピュレーター兼テクニシャンとして堀内靖が参加し、サウンドメイキングを技術面からサポートしています。ドラムのサウンドを最適な状態に調整するドラム・テクニシャンは枝川光孝が務めました。

バンドの運営や活動を支えるアーティスト・マネージメントは高橋文明が担当しました。アルバムのアートワークにおいては、アートディレクションとデザインをKazuo Fukudaが手掛け、視覚的なイメージを構築しました。カバー写真の撮影はSenichi Tawara、アーティスト写真の撮影はYoshiyuki Itoが担当し、アルバムのジャケットを彩るビジュアルを完成させました。

このように、『INSPIRE』はカシオペアの確固たる演奏力に加え、経験豊富なサポートミュージシャンと優秀な制作スタッフが集結して生み出された作品であり、彼らのキャリア後期における重要なアルバムの一つと言えるでしょう。

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