JR貨物クキ1000形貨車

JR貨物クキ1000形貨車

JR貨物クキ1000形貨車は、1991年（平成3年）から1992年（平成4年）にかけて日本車輌製造で20両が製造された、タンクローリーピギーバック輸送用の貨車です。JR貨物（日本貨物鉄道）が所有し、石油輸送の効率化のために導入されました。

開発の背景

バブル景気の影響でトラック運転手が慢性的に不足し、首都圏では道路渋滞が深刻化していました。これにより、タンクローリーによるジャストインタイム配送が困難になっていました。そこで、日本[[石油]]は首都圏都心部を迂回するバイパス輸送を計画し、JR貨物と日本[[石油]]輸送が協力して、タンクローリーピギーバック輸送の実用化に向けた開発が進められました。クキ900形での試験結果を踏まえ、クキ1000形が製造されました。所有者は日本[[石油]]輸送で、クキ1000-1からクキ1000-20の20両が製造されました。

構造

クキ1000形は、全長20,400mm、全幅2,600mm、全高1,856mm、自重20.4t、荷重44.4tという仕様です。車体は日本[[石油]]のタンクローリーに合わせた青紫色で塗装され、台車と床下機器は灰色1号で塗装されています。最高速度は110km/hで設計されていますが、実際にはタキ1000形と同じ95km/hで運行されました。

タンクローリーを積載する際、重心を低くすることが重要でした。そのため、台車間の側梁部分を540mmまで下げ、中梁を870mmの位置に設けることで、タンクローリーを低い位置に搭載できるように工夫されています。台車にはFT1形の枕バネを改良したFT1-1形が採用され、ブレーキはCL方式応[[荷重装置]]付き空気ブレーキ装置と特殊なラチェット方式の留置ブレーキが装備されています。

タンクローリーの積み降ろしには、専用のリーチスタッカーが導入されました。このリーチスタッカーは、トレーラーを丸ごと持ち上げて積み込む方式で、キングピンを中梁の固定具に緊締します。20キロリットルタンクローリーの場合は2台、14キロリットルタンクローリーの場合は3台を積載可能です。クキ900形では、消防法の規制によりトラクターごと貨車に搭載する必要がありましたが、クキ1000形では1991年の法改正により鉄道輸送時の規制が除外されました。

運用

クキ1000形は浮島町駅常備とされ、1992年3月に横浜本牧 - 新座貨物ターミナル間で運用を開始しました。6月からは越谷貨物ターミナルも着地となり、9月からは18両編成で運転されるようになりました。しかし、バブル崩壊と首都高速湾岸線の開通による渋滞緩和により、鉄道輸送のコストメリットが薄れ、1996年3月に輸送は打ち切られました。

廃車

輸送終了後、クキ1000形は転用されることなく、1996年10月に全車が廃車・解体されました。製造から最長でも5年という短命に終わりました。専用のリーチスタッカーは、後に40ftコンテナ用のトップリフターに改造されました。

参考文献

渡辺 一策『RM LIBRARY 84 車を運ぶ貨車（下）』（初版）ネコパブリッシング、2006年。ISBN 4-7770-5173-0。
吉岡心平　『プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑（復刻増補）』　2008年、ネコ・パブリッシング刊 ISBN 978-4-7770-0583-3

外部リンク

* クキ1000-1 - クキ1000形の写真がある

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