Ju 89 (航空機)

ユンカース Ju 89について

ユンカース Ju 89は、第二次世界大戦以前にドイツのユンカース社が開発した重爆撃機です。この機体は、2機の試作機が製造されましたが、最終的に量産には至りませんでした。開発の初期段階での設計要素は、その後のユンカース社の航空機に活用されました。

開発の背景

1933年、ドイツ空軍が設立される初期の段階で、参謀長のヴァルター・ヴェーファー将軍は、将来の戦争において戦略爆撃機の重要性を認識しました。彼は、長距離爆撃機が必要であると判断し、ウラル爆撃機計画をもとに、ドイツの航空機製造会社であるドルニエ社とユンカース社に対し、秘密裏に長距離爆撃機の要求仕様について交渉を始めました。

1935年には、ドイツ航空省（RLM）により、両社の試作機が発注され、ユンカース社ではエルンスト・ツィンデル技師が設計を担当しました。本機は、ユンカース社の既存の機体「Ju 86」を元に設計され、強力なユモ211AまたはDB600Aエンジンを搭載し、二重翼フラップを備えた大型の機体に仕上がりました。

しかし、1936年にヴェーファーが航空機事故で亡くなったことにより、方針が変更されました。新たに後任となったエルンスト・ウーデットとハンス・イェションネクは、より小型の航空機の方が望ましいと考え、急降下爆撃機であるユンカース Ju 87を推奨しました。これは、敵軍の工業力を破壊するよりも陸軍の作戦に直接協力することを重視したためです。

試作初号機の飛行

1937年4月11日、初号機D-AFIT（V1）はハッセルバッハ飛行士の操縦により初めての飛行を行いました。しかし、2週間後の4月29日にはRLMによって、2機種の戦略爆撃機の開発はキャンセルされることとなります。その理由として、重 bomb machine の燃料消費が大きいこと、そして中型爆撃機であるユンカース Ju 88を大量生産する方が望ましいとの判断がありました。

試作2号機と記録

続いてユンカース社は、1937年7月に試作2号機D-ALATを完成させました。この機体にはDB600Aエンジンが搭載され、ユンカース社は両試作機を用いて大型機の安定性や操縦性の実験を行いました。1938年には、試作2号機で5,000kgのペイロードを積んで9,312メートルの高度に到達し、さらに10,000kgのペイロードを積み7,242メートルに到達するという記録を樹立しました。

最後の取り扱い

試作3号機の開発キャンセル後、ルフトハンザ航空がJu 89の旅客機バージョンに興味を示し、未完成の試作3号機はユンカース Ju 90として再組み立てされました。その後、試作機はドイツ空軍に移譲され、大型輸送機として使われましたが、両試作機は1940年にスクラップにされました。しかし、一部の情報では、翌年にノルウェーで利用されたとも言われています。

諸元

• - 乗員: 9名
• - 全長: 26.49 m
• - 全幅: 35.25 m
• - 全高: 7.60 m
• - 翼面積: 184 m2
• - 空虚重量: 17,000 kg
• - 最大離陸重量: 27,800 kg
• - 最高速度: 389 km/h（非武装・高度5,000m）
• - エンジン: ダイムラー・ベンツ DB 600A ×4

ユンカース Ju 89は、ドイツ空軍の戦略爆撃能力において、重要な役割を果たすはずであったが、歴史の波に翻弄された機体です。それでも、今後の航空機設計に少なからず影響を与える存在となりました。

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