K3 (分隊支援火器)

K3軽機関銃：韓国軍の分隊支援火器

K3は、韓国軍の要請に基づきベルギーのFN社が設計、韓国のS&T大宇が製造する分隊支援火器です。長らく韓国軍で使用されてきたM60機関銃の後継として、1990年代初頭に配備が開始されました。

開発の経緯

韓国軍は、西側諸国と同様に5.56mm NATO弾を使用する小銃（K1、K2）を採用する流れを受け、同口径弾を使用する分隊支援火器の必要性が高まりました。M249軽機関銃の導入も検討されましたが、アメリカ軍への供給が優先され、韓国軍への供給には時間を要すること、韓国軍の要求に完全に合致しない点から、独自開発または既存設計の改良が模索されました。

最終的に、ミニミ軽機関銃の設計で知られるFN社に設計を委託。FN社の設計に基づき開発が進められ、1990年には韓国軍への配備が開始、翌年にはS&T大宇による製造が始まりました。ただし、FN社が製造に関与した明確な証拠は見つかっていません。

設計と特徴

K3の設計はミニミ軽機関銃と類似していると言われますが、独自設計とする情報や、全くの別物とする情報もあり、詳細は不明瞭です。しかし、5.56mm NATO弾を使用し、STANAGマガジンに対応する点は共通しています。M60に比べて軽量で、小柄な兵士でも運用しやすい設計となっています。

K2小銃との部品共有も特徴で、トリガー、ピストルグリップ、ストック、ハンドガードなどはK2と共通です。銃身には折りたたみ式のハンドルが付き、銃身交換が容易に行えます。また、折りたたみ式のバイポッドを備え、伏射や車載射撃にも対応。三脚への搭載も可能です。

運用と評価

韓国軍ではM60機関銃と置き換え、全歩兵連隊への配備が完了しています。イラク戦争におけるザイトゥーン部隊などでも実戦投入され、その運用実績があります。S&T大宇は積極的に輸出も行っており、価格競争力も強みとなっています。

韓国国内での初期の評判は芳しくなく、頻繁なジャムや故障、パーツ破損などが問題視されました。これは、初期の材質の脆さ、冶金技術の未熟さ、兵士による不適切なメンテナンス、経費削減による射撃方法の誤用などが原因とされています。しかし、2000年代以降の改良型ではこれらの問題は大幅に改善されています。それでも、軍部が旧型と改良型のパーツを混用しているために、現在でも故障に関する報告が絶えない状況です。

これらの問題を踏まえ、後継となるK12軽機関銃では、セミオート射撃機能の追加、ジャムの発生防止などが重視されています。

採用国と登場作品

K3は韓国軍以外にも、コロンビア、フィジー、グアテマラ、インドネシア、フィリピンなど複数の国で採用されています。

また、映画『FLU 運命の36時間』『JSA』『スコーピオン』『スモーキン・エース2』『エンジェル ウォーズ』、小説『ヤングガン・カルナバル』、ゲーム『ドールズフロントライン』『メダル・オブ・オナー ウォーファイター』など、様々な作品にも登場しています。特に、カナダのプロップガン業者がミニミ風カスタムを施したK3を製作しており、ハリウッド映画のミニミのプロップガンとして頻繁に使用されています。

まとめ

K3軽機関銃は、韓国軍の装備近代化において重要な役割を果たした分隊支援火器です。初期の問題点を克服し、改良を重ねながら現在も多くの国で運用されています。しかし、旧型と新型のパーツの混用など、運用上の課題も残されています。後継機種であるK12の登場により、これらの課題は解決に向かうと期待されます。

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