KPOキリンプラザ大阪

KPOキリンプラザ大阪

KPOキリンプラザ大阪は、1987年から2008年まで大阪府大阪市中央区宗右衛門町に存在した複合文化ビルです。その特徴的な外観と、アート振興への貢献で知られていました。

歴史と背景

1934年、この地には麒麟麦酒が「戎橋キリン食堂」を開業しました。その後、1958年には複合文化ビル「戎橋キリン会館」が竣工しましたが、老朽化が進んだため、新たな企業イメージ戦略の一環として、1986年にKPOキリンプラザ大阪の建設が始まりました。当時、大阪でアサヒビールを抜きトップシェアを獲得したキリンビールは、地域への貢献の意味も込めて、この施設を建設したと言われています。

建築の特徴

設計は高松伸が担当し、「灯の塔」をテーマとしたハイテックな外観が特徴でした。高さ約20メートルの行灯状の光塔は、約5000本の蛍光管で夜間には美しく照らされました。3階のレストランの内装も高松が手掛けています。

映画の舞台

1989年公開のハリウッド映画「ブラック・レイン」の撮影舞台にもなり、当時の建物の様子が映像に残されています。この映画を見たイスラエルの実業家が、高松に建築設計を依頼するきっかけにもなりました。

文化振興への貢献

4階と6階のギャラリーでは、現代美術、建築、デザインなどの展覧会が開催され、開館当初は運営委員会が企画を行っていました。1990年から2003年まで「キリンプラザ大阪コンテンポラリー・アワード」などの芸術賞を主催し、文化振興に貢献しました。

リニューアルと閉館

施設の認知度向上が課題となり、2000年にリニューアルが行われました。建築家の木下道郎が参画し、地ビール工場などを新設しましたが、賃貸契約満了と改修コストの問題から、2007年10月末に閉館し、2008年9月に解体されました。

その後

跡地には丸紅が出資する特定目的会社が商業ビル「Luz Shinsaibashi」（現：デカ戎橋ビル）を建設し、核テナントとしてH&Mが2010年にオープンしました。

フロア構成

リニューアル前
地下1階：南海グリル（ステーキハウス）
1階：カフェ、フラワーショップ、チケットセゾン
2階：キリンシティ（ビアパブ）
3階：レストラン
4階：プラザギャラリー、会議室
5階：ギャラリー
6階：プラザホール（多目的ホール）
7階：事務所、応接室

リニューアル後
1階：地ビール工場（KPOブルワリー）、KPOカフェ、KPOアートショップ
2階：KPOスタジオ（イベント会場兼パーティースペース）
3階：KPOキッチン（ビアレストラン）
4～5階：KPOギャラリー、会議室
6階：KPOホール、男子更衣室、倉庫
7階：女子更衣室、休憩室、事務室

KPOビール

2階のビール工場で醸造されたビールは、以下の4種類がレギュラーで提供され、その他にも期間限定ビールが不定期に醸造されていました。

KPOピルス（ピルスナー）
KPOヴァイス（ヴァイツェン）
KPOエール（ペールエール）
KPOスタウト（スタウト）

主な期間限定ビール

KPOミレニアムビール
KPO SOUL BEER
KPOアドリブアートビール
KPO WINNER'S BEER
KPO GRAFFITI
KPO GROOVE
KPOキネマ
KPOミナミビール

受賞歴

1989年：日本建築学会賞
1998年：メセナ大賞'98「メセナ普及賞」

アクセス

大阪市営地下鉄 なんば駅・心斎橋駅、近鉄・阪神 大阪難波駅

参考文献

『新建築』1988年1月号（新建築社刊）
『商店建築』1988年1月号（商店建築社刊）
3周年記念誌（1991年発行、非売品）
8周年記念誌（1996年発行、非売品）
KPOキリンプラザ大阪開館15周年記念出版 EXPOSE 2002（2002年11月発行）
20 years of KIRIN PLAZA OSAKA（2007年発行、非売品）
有名建築 その後（日経BP刊・2009年6月初版）

関連項目

キリン本社ビル - 高松伸が設計した、KPOキリンプラザ大阪の受賞実績がきっかけで依頼されたオフィスビル（こちらも解体済）
キリンアートプロジェクト
1980年代の建築
難波
道頓堀

外部リンク

KPOキリンプラザ大阪
KPOキリンプラザ大阪 - インターネットアーカイブ
* キリンプラザ大阪 - 高松伸建築設計事務所

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