L852i

FOMA L852i、通称「PRADA Phone by LG」は、NTTドコモから発売された第三世代携帯電話（FOMA）端末です。この端末は、イタリアの高級ファッションブランドであるプラダと、LGエレクトロニクスが共同で開発した点が大きな特徴です。プラダのブランドイメージを反映した高級感あふれるデザインと、全面タッチパネルの採用が、この端末の最大の魅力となっています。

開発は、プラダとLGエレクトロニクスが初期段階から共同で行いました。2007年に海外で発売されたGSM専用端末「The PRADA Phone by LG KE850」をベースに、W-CDMAに対応させ、日本のNTTドコモ向けにカスタマイズされました。具体的には、iモードやiチャネル、ケータイお探しサービスといったドコモのサービスに対応させたほか、下り最大7.2MbpsのFOMAハイスピードに対応しています（ただし、Music&Videoチャネルは音声のみ）。

カメラ機能も充実しており、メインカメラにはドイツのシュナイダー・クロイツナッハ社公認のレンズを使用した約200万画素CMOSセンサーが搭載されています。さらに、テレビ電話用のサブカメラとして、30万画素CMOSセンサーも追加されました。外部メモリはmicroSD（2GBまで）に対応しており、赤外線通信も利用可能です。また、LG製のドコモ向け端末としては初めてフルブラウザに対応した点も特徴です。

ただし、ベース機種がGSM方式であったため、GSM通信とBluetoothは非対応となりました。また、同時期に発売されたドコモの端末と比較して、おサイフケータイやワンセグには対応していません。これらの点は、ユーザーによってはデメリットと感じられたかもしれません。

販売は、ドコモショップや家電量販店で行われ、プラダの店舗では販売されていません。端末は、特製のボックスに梱包され、専用のレザーケース、スタイラスペン付きストラップ、液晶クリーナーが付属していました。2008年11月27日には、日本限定の新色「Silver」が発表され、同年12月19日に発売されました。この新色では、端末裏面に記載されたドコモのロゴも「NTT DoCoMo」から「NTT docomo」に変更されました（ただし、Blackモデルは旧ロゴのまま）。

機能面では、500kBのiアプリに対応し、プリインストールアプリとして「脳オン」「FOMA通信環境確認アプリ」「Gガイド番組表リモコン」が搭載されています。また、「Lifekit」には2種類のゲーム（グラウンドゴルフ・間違い探し）が内蔵されており、これらはタッチ操作に対応していました。

価格設定は非常に高く、発売当初のバリューコースでの端末代金は94,500円でした。分割払いの場合は、頭金31,500円に加え、残額63,000円を月額2,625円×24回で支払う必要がありました。同時期に発売されたドコモの最上位モデルである906iシリーズの販売価格が5万円台中盤であったことを考えると、L852iの価格はかなり高額であったと言えます。しかし、2008年後半には「PRADAフォン割」と呼ばれる機種限定割引が実施され、21,000円から最大63,420円まで、時期や地域によって異なる値引きが行われました。さらに、2009年11月には、mova利用者向けに5000ポイントでの契約変更キャンペーンも実施されました。

FOMA L852iは、そのデザイン性と高機能性から注目を集めましたが、価格の高さや一部機能の非対応といった点で、ユーザーを選ぶ端末であったと言えるでしょう。しかし、ファッションブランドとのコラボレーションモデルとしての希少性や、高級感あふれるデザインは、多くのユーザーを魅了しました。販売終了後も、そのスタイリッシュな外観と、ブランドイメージから、中古市場でも一定の人気を保っています。

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