LOVE SPACE

山下達郎「LOVE SPACE」：軽快なリズムと卓越した演奏が織りなす名曲

山下達郎の代表曲の一つとして名高い「LOVE SPACE」は、1977年6月25日にリリースされたアルバム『SPACY』に収録されています。この曲は、その後も『GREATEST HITS! OF TATSURO YAMASHITA』や『OPUS 〜ALL TIME BEST 1975-2012〜』といったベストアルバムに収録され、長年にわたって愛され続けている人気楽曲です。

レコーディング：豪華ミュージシャンが結集したセッション

『SPACY』収録楽曲の中で最初にレコーディングされた「LOVE SPACE」。『CIRCUS TOWN』での海外録音から一転、本作では山下達郎自身によるアレンジとスコア書きが全て行われました。当時、一般的なレコーディング手法であったスタジオミュージシャンによるリズム録音をベースに、ブラスやストリングス、コーラスといった装飾を加える方法とは異なり、山下達郎は自身の理想を体現できるメンバーを選抜。村上秀一、細野晴臣、松木恒秀、佐藤博という、個性豊かなミュージシャンが集結しました。

このメンバーの選定は、山下達郎の個人的な好みを反映したもので、特に細野晴臣と松木恒秀は初対面だったそうです。レコーディング時のエピソードとして、細野晴臣が椅子に足を組んで演奏していたところを目撃した松木恒秀が、「生意気だぞ」と発言するよう村上秀一に命じたという興味深い逸話が残されています。

楽曲の構成は、ライブ演奏のしやすさを考慮し、16小節のテーマが繰り返されるシンプルなものとなっています。イントロを飾る佐藤博のピアノソロは、なんと本番で即興的に演奏されたものだったと言われています。

「LOVE SPACE」のライブ音源は、『IT'S A POPPIN' TIME』や『JOY –TATSURO YAMASHITA LIVE–』といったライブアルバムにも収録されており、スタジオ録音とは異なる熱気を帯びた演奏を楽しむことができます。

楽曲の特徴と評価

「LOVE SPACE」は、疾走感溢れる16小節のテーマがループする構成が特徴で、生演奏ならではの躍動感とエネルギーに満ち溢れています。音楽評論家からは、山下達郎の卓越した歌唱力と、豪華な演奏陣による洗練されたサウンドが、聴く者に感動と喜びを与える名曲として高く評価されています。

雑誌『レコード・コレクターズ』2020年6月号の特集「シティ・ポップの名曲ベスト100 1973-1979」では、29位に選出されました。柴崎祐二氏は、「超一流の腕達者たちを従え、16小節の疾走感溢れるテーマがループされる構成は、生演奏の喜びを高らかに知らしめているよう。この世に感動的な音楽は多くあれども、明るすぎてなんだか涙が出てくるというのは極めて稀ではないか。そうした印象を作り出しているのは、オケの魅力はもちろん、山下の驚異的な歌唱だろう。世界中を見回しても、ここまで伸びやかかつ強靭なヴォーカル・ワークを見つけることは難しいのではないか」と絶賛しています。

まとめ

「LOVE SPACE」は、山下達郎の音楽的才能と、一流ミュージシャンとのコラボレーションによって生まれた、まさに珠玉の楽曲です。軽快なリズムとメロディー、そして山下達郎の圧倒的な歌唱力は、時代を超えて人々の心を魅了し続けています。その人気の高さは、数々のベストアルバムへの収録からも明らかです。 楽曲に込められた山下達郎のこだわり、そしてレコーディング時のエピソードを知ることで、「LOVE SPACE」への理解がさらに深まることでしょう。

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