Line Mode Browser
Line Mode Browser（ラインモードブラウザ、LMB）は、1990年に開発された、世界で2番目のウェブブラウザです。特筆すべきは、複数のオペレーティングシステムに移植された最初のブラウザであるという点です。このブラウザは、シンプルなコマンドラインインターフェースを使用しており、様々なコンピュータや端末からインターネットにアクセスすることを可能にしました。初期のインターネット黎明期において、広く利用されたブラウザの一つです。
Line Mode Browserは、CERN（欧州原子核研究機構）の「World Wide Web」プロジェクトの中で、誰でもインターネットにアクセスできるようにするという基本理念に基づいて開発されました。1990年当時、ティム・バーナーズ＝リーは既に最初のウェブブラウザであるWorldWideWebを開発していましたが、これはNeXTのコンピュータでしか動作しませんでした。そこで、より多くのユーザーが利用できるように、当時の多くのコンピュータに対応した基本的なブラウザを開発する必要がありました。
CERNのインターン生であった数学科の学生ニコラ・ペローが、この新しいブラウザの開発を担当しました。Line Mode Browserという名前は、テレタイプ[[端末]]などの初期のコンピュータ端末で利用できるように、テキスト表示とテキスト入力のみに限定したことに由来します。開発は1990年11月に開始され、12月には基本的な動作が確認されました。開発には、CERN内のマイクロプロセッサ開発を標準化するプロジェクトの機材が活用されました。開発期間が短かった要因の一つとして、C言語の簡略化された方言が使われたことが挙げられます。当時、ANSI Cはまだすべてのプラットフォームで利用可能ではなかったのです。
1991年3月には、VAX、RS/6000、Sun-4といったシステム向けに一部バージョンがリリースされました。その後、素粒子物理学界で広く使われているCERN Program Libraryに組み込まれ、1991年4月8日に最初のベータ版がリリースされました。1991年6月には、バーナーズ＝リーがネットニュースでこのブラウザを紹介し、インターネット経由で誰でも利用可能になりました。これは、最初のウェブアプリケーションとも言えるものでした。1991年はWorld Wide Webのニュースが世界中に広まった年であり、Line Mode Browserもその普及に貢献しました。
1992年1月には最初の安定版バージョン1.1がリリースされ、1992年10月には共通コードをライブラリ化したバージョン1.21がリリースされました。このライブラリは、後のlibwwwです。主要開発者のペローは、その後MacWWWプロジェクトにも関与し、2つのブラウザの間で一部のソースコードが共通化されました。1993年5月、バーナーズ＝リーはこのブラウザをパブリックドメインとし、新規クライアントサポート作業を減らすことを発表しました。1995年3月21日、バージョン3.0のリリースをもってCERNはLine Mode Browserの保守責任をW3Cに移管しました。
Line Mode Browserは非常にシンプルで、いくつかの制限がありました。しかし、それが逆に多くのOSで動作することを可能にしました。インターフェースは、可能な限り単純化されており、コマンドラインからURLを入力して起動します。ウェブページはテキストベースで、1行ずつ画面に表示されます。HTMLの最初のバージョンを使い、大文字、字下げ、改行で体裁を整えています。
ナビゲーションは、マウスや矢印キーを使用せず、テキストコマンドを入力することで操作します。各リンクには括弧で囲まれた番号が表示され、その番号を入力することでリンク先へ移動します。ページをスクロールするには、空コマンド（キャリッジリターン）を入力します。また、前のページに戻るには"b"、新しいページを閲覧するには"g http://..."のようにURLを入力します。このブラウザには、ウェブページ編集機能はなく、閲覧のみに限定されています。
開発者の一人であるロバート・カイリューは、この点が問題だったと指摘しています。彼は、「プロジェクト全体の最大の誤りは、Line Mode Browserを公開したことだった。それによってインターネットハッカーがすぐにアクセスできるようになったが、編集機能のない受動的なブラウザの観点しか提供しなかった」と述べています。
Line Mode Browserは、クロスプラットフォームとなるように設計されました。公式に移植されたプラットフォームとしては、Apollo/Domain、IBM RS/6000、DECstation/Ultrix、VAX/VMS、VAX/Ultrix、MS-DOS、UNIX、Windows、Mac OS、Linux、MVS、VM/CMS、FreeBSD、Solaris、Mac OS Xなどがあります。File Transfer Protocol (FTP)、Gopher、Hypertext Transfer Protocol (HTTP)、Network News Transfer Protocol (NNTP)、Wide Area Information Server (WAIS)といった、様々なプロトコルをサポートしていました。
また、rlogin、telnet、ハイパーリンク、キリル文字サポート（1994年11月25日のバージョン2.15で追加）、プロキシクライアントとしての設定といった機能も備えていました。バックグラウンドプロセスとして起動して、ファイルのダウンロードを行うこともできました。しかし、Line Mode Browserには、文字実体参照の解釈、複数の空白を詰めることができない、テーブルとフレームをサポートしないといった問題点もありました。
Line Mode Browserは、ウェブ黎明期には重要な役割を果たしましたが、より機能的なブラウザが登場するにつれて、その役割を終えました。しかし、そのシンプルさとクロスプラットフォーム性から、初期のインターネット普及に大きく貢献したことは間違いありません。現在ではlibwwwライブラリの評価用アプリケーションとして、その遺産を伝えています。
歴史
Line Mode Browserは、CERN（欧州原子核研究機構）の「World Wide Web」プロジェクトの中で、誰でもインターネットにアクセスできるようにするという基本理念に基づいて開発されました。1990年当時、ティム・バーナーズ＝リーは既に最初のウェブブラウザであるWorldWideWebを開発していましたが、これはNeXTのコンピュータでしか動作しませんでした。そこで、より多くのユーザーが利用できるように、当時の多くのコンピュータに対応した基本的なブラウザを開発する必要がありました。
CERNのインターン生であった数学科の学生ニコラ・ペローが、この新しいブラウザの開発を担当しました。Line Mode Browserという名前は、テレタイプ[[端末]]などの初期のコンピュータ端末で利用できるように、テキスト表示とテキスト入力のみに限定したことに由来します。開発は1990年11月に開始され、12月には基本的な動作が確認されました。開発には、CERN内のマイクロプロセッサ開発を標準化するプロジェクトの機材が活用されました。開発期間が短かった要因の一つとして、C言語の簡略化された方言が使われたことが挙げられます。当時、ANSI Cはまだすべてのプラットフォームで利用可能ではなかったのです。
1991年3月には、VAX、RS/6000、Sun-4といったシステム向けに一部バージョンがリリースされました。その後、素粒子物理学界で広く使われているCERN Program Libraryに組み込まれ、1991年4月8日に最初のベータ版がリリースされました。1991年6月には、バーナーズ＝リーがネットニュースでこのブラウザを紹介し、インターネット経由で誰でも利用可能になりました。これは、最初のウェブアプリケーションとも言えるものでした。1991年はWorld Wide Webのニュースが世界中に広まった年であり、Line Mode Browserもその普及に貢献しました。
1992年1月には最初の安定版バージョン1.1がリリースされ、1992年10月には共通コードをライブラリ化したバージョン1.21がリリースされました。このライブラリは、後のlibwwwです。主要開発者のペローは、その後MacWWWプロジェクトにも関与し、2つのブラウザの間で一部のソースコードが共通化されました。1993年5月、バーナーズ＝リーはこのブラウザをパブリックドメインとし、新規クライアントサポート作業を減らすことを発表しました。1995年3月21日、バージョン3.0のリリースをもってCERNはLine Mode Browserの保守責任をW3Cに移管しました。
操作モード
Line Mode Browserは非常にシンプルで、いくつかの制限がありました。しかし、それが逆に多くのOSで動作することを可能にしました。インターフェースは、可能な限り単純化されており、コマンドラインからURLを入力して起動します。ウェブページはテキストベースで、1行ずつ画面に表示されます。HTMLの最初のバージョンを使い、大文字、字下げ、改行で体裁を整えています。
ナビゲーションは、マウスや矢印キーを使用せず、テキストコマンドを入力することで操作します。各リンクには括弧で囲まれた番号が表示され、その番号を入力することでリンク先へ移動します。ページをスクロールするには、空コマンド（キャリッジリターン）を入力します。また、前のページに戻るには"b"、新しいページを閲覧するには"g http://..."のようにURLを入力します。このブラウザには、ウェブページ編集機能はなく、閲覧のみに限定されています。
開発者の一人であるロバート・カイリューは、この点が問題だったと指摘しています。彼は、「プロジェクト全体の最大の誤りは、Line Mode Browserを公開したことだった。それによってインターネットハッカーがすぐにアクセスできるようになったが、編集機能のない受動的なブラウザの観点しか提供しなかった」と述べています。
機能と特徴
Line Mode Browserは、クロスプラットフォームとなるように設計されました。公式に移植されたプラットフォームとしては、Apollo/Domain、IBM RS/6000、DECstation/Ultrix、VAX/VMS、VAX/Ultrix、MS-DOS、UNIX、Windows、Mac OS、Linux、MVS、VM/CMS、FreeBSD、Solaris、Mac OS Xなどがあります。File Transfer Protocol (FTP)、Gopher、Hypertext Transfer Protocol (HTTP)、Network News Transfer Protocol (NNTP)、Wide Area Information Server (WAIS)といった、様々なプロトコルをサポートしていました。
また、rlogin、telnet、ハイパーリンク、キリル文字サポート（1994年11月25日のバージョン2.15で追加）、プロキシクライアントとしての設定といった機能も備えていました。バックグラウンドプロセスとして起動して、ファイルのダウンロードを行うこともできました。しかし、Line Mode Browserには、文字実体参照の解釈、複数の空白を詰めることができない、テーブルとフレームをサポートしないといった問題点もありました。
Line Mode Browserは、ウェブ黎明期には重要な役割を果たしましたが、より機能的なブラウザが登場するにつれて、その役割を終えました。しかし、そのシンプルさとクロスプラットフォーム性から、初期のインターネット普及に大きく貢献したことは間違いありません。現在ではlibwwwライブラリの評価用アプリケーションとして、その遺産を伝えています。
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