M-84

M-84：ユーゴスラビア生まれの主力戦車

M-84は、1980年代にユーゴスラビアで開発された第三世代主力戦車です。ソ連のT-72Mをベースにしていますが、独自の改良が施されています。外観上の特徴としては、砲塔上部に取り付けられた筒状の環境センサーが挙げられます。

開発と配備

M-84はユーゴスラビア人民軍に採用され、1984年から部隊への配備が開始されました。しかし、その後のユーゴスラビア紛争によって、M-84は分裂した各共和国で使用されることになります。紛争前には、450〜500輌のM-84がユーゴスラビアに存在していたと推定されています。

現在、M-84はクロアチア、スロベニア、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ（スルプスカ共和国を含む）で使用されています。また、一部の国ではM-84の近代化改修や発展型の開発も行われています。

輸出と実戦

M-84は中東地域にも輸出されました。湾岸戦争では、事前に発注されていた発展型のM-84ABがクウェート軍に配備され、イラク軍との戦闘に参加しました。一部はイラク軍によって破壊されましたが、新たに供給されたM-84ABはクウェート奪還のために戦いました。リビアとシリアにも輸出が計画されましたが、実現には至りませんでした。

派生型

M-84には、様々な派生型が存在します。

M-84: 基本型。T-72Mを基にした発展型です。
M-84A: 発展型。
M-84A1: 射撃管制装置の強化、エンジンを1,000馬力に強化。
M-84AB: コンピューター制御式の射撃管制装置を搭載。クウェートに輸出されました。
M-84AB1: M-84ABの発展型。
M-84ABK: 指揮戦車型。
M-84ABN: 地上ナビゲーターを搭載した発展型。
M-84A4 スナイペル: クロアチアで開発された発展型。
M-84AS (M-2001): ロシアのT-90Sに準じた装備を持つ発展型。
M-84ABI: 装甲回収車型。
M-92 ヴィホル: クロアチアで生産。
M-95 デグマン: クロアチアで開発・生産された発展型。
M-95 コブラ: クロアチアで開発・生産されたM-84A4の発展型。
M-84AS1/AS2: 2023年より配備された最新型。国産の爆発反応装甲などを搭載。

運用国

M-84は以下の国々で運用されています。

セルビア
クロアチア
スロベニア
ボスニア・ヘルツェゴビナ
* クウェート

M-84は、その開発から現在に至るまで、様々な歴史的背景と各国のニーズに応じた発展を遂げてきた主力戦車です。

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