M1A

M1A:M14の系譜を継ぐ民生用自動小銃



M1Aは、アメリカのスプリングフィールド・アーモリー社が製造している民生用自動小銃です。元は小銃M14の民生用モデルとして、1974年から生産が開始されました。

M14小銃の開発と課題



M14小銃は、アメリカ軍がそれまで使用していた複数の銃器、M1ガーランド、M1カービン、M3グリースガン、M1918自動小銃の役割を一本化する目的で開発されました。これにより、部品や弾薬の調達を簡素化する狙いがありました。しかし、実際には7.62mm弾の威力が短機関銃的な運用には強すぎ、軽機関銃としては装弾数が少なく、ベトナム戦争では取り回しの悪さが問題視されました。結果として、M14による武器の統合は不可能と判断されました。

M1A誕生の経緯



1962年、スプリングフィールド造兵廠でM14の競技用モデルが設計されました。このモデルはM1ガーランドの部品を組み込み、セミオート射撃のみが可能でした。しかし、有事の際に用仕様に改造できないという理由から、販売には至りませんでした。1974年、民間企業としてスプリングフィールド・アーモリーが創業され、競技用M14の設計が再申請されました。当時のDCM(民間射撃プログラム責任者)は、セレクターレバーを除く外見的な特徴を維持することを条件に許可しました。こうして誕生したのがM1Aです。

当初はM14という製品名で発表予定でしたが、BATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)の許可が得られず、M1Aに改称されました。M14自体の評判は決して良くありませんでしたが、M1Aは民生用半自動小銃として、M14の欠点がほとんど問題視されませんでした。特に、M1ガーランドやM14に馴染みのある退役人や兵役経験者から支持されました。

M1AとM14の差異



M1AはM14と多くの共通点を持ちますが、いくつかの差異があります。

機関部: 初期型M1AはM14の余剰部品が使用されていましたが、現在は専用のものが製造されています。用M14の機関部は鍛造ですが、M1Aは鋳造で作られています。
銃床: 1990年代後半まで、M1Aの銃床はM14と同型で、セレクターレバー用の切欠きが残されていました。1991年以降は機関部の「7.62-MM」の刻印も省略されました。
着剣装置: 1994年のアサルト・ウェポン規制法により、着剣装置の製造が禁止されたため、M1Aからも除去されました。2004年に規制が解除されましたが、スプリングフィールド・アーモリーはM1Aに着剣装置を復活させていません。
銃口制退器: カリフォルニア州銃器規制法により、着脱式弾倉を備える半自動小銃に消炎器を取り付けることが禁止されたため、M1Aには銃口制退器が装着されました。

セレクティブファイア機能



M1Aは主に民生市場向けに製造されており、セミオート射撃のみ可能です。しかし、1986年以前には、ごく少数のフルオート射撃機能付きM1Aが製造・販売されました。

M1Aの派生型



スプリングフィールド・アーモリー社は、M1Aの様々な派生モデルを製造しています。

スカウト・スクワッド・モデル


銃身を18インチに短縮し、取り回しやすくしたモデルです。近距離での使用を想定しており、警察や法執行機関でも使用されています。日本国内にも過去に輸入販売された実績があります。

SOCOM16


M14の銃身を16.25インチまで短縮したカービンモデルです。7.62mm弾の威力を至近距離で使用するために、取り回しを優先したモデルです。反動制御が容易で、近接戦闘での使用を想定しています。

SOCOM II


SOCOM16の改良型で、銃身基部にマウントを取り付ける構造を廃止し、ヴォルター・インダストリー製のクラスターレイルを搭載しました。これにより、各種オプションの装着が可能になり、タクティカルユースに特化したモデルとなっています。

まとめ



M1Aは、M14の優れた性能を受け継ぎながら、民生用としての使いやすさを追求した自動小銃です。多様な派生モデルが存在し、個々のニーズに合わせた選択が可能です。

脚注



参考文献

Springfield Armory USA (2006 Catalog)
Duff, Scott A, Miller, John M and contributing editor Clark, David C. The M14 Owner's Guide and Match Conditioning Instructions. Scott A. Duff Publications, 1996. ISBN 1-888722-07-X
U. S. March 1989 foreign small arms import ban Semi-automatic rifles banned from importation in 1989
Emerson, Lee and contributing editors Different's M1A/M14 Information Archive
U. S. Department of State Dispatch Bureau of Public Affairs: May 30, 1994
Iannamico, Frank. The Last Steel Warrior U.S. M14 Rifle. Moose Lake Publishing, LLC: Henderson, NV, '05.
ARMAMENT SERVICES INTERNATIONAL, INC. (http://www.autoweapons.com) (images)

外部リンク

Official M1A rifles page
The M14/M1A on About.com
The M14/M1A Magazine FAQ

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