M5 (コンピュータ)

M5 (エムファイブ)の概要

M5は1982年にソードが発売した家庭用パソコンで、当時のパソコン市場において新たなスタンダードを打ち立てました。主に電器店で販売される一方、タカラがOEMとして販売したゲームパソコンもあったため、ゲームパッドが付属している部類も存在します。このタカラ版は、コストを抑えた廉価モデルで、一般消費者にとっても親しみやすい存在でした。

M5は、ソードがそれまでの業務用パソコン分野から家庭用コンシューマ市場への進出を目指して開発した初めての製品で、親しみやすいゲーム機としての要素を持つことから多くの購入者に受け入れられました。この製品の特徴として、ゲーム機でありながらパソコンとしての機能を備えた点が挙げられます。

また、ナムコの人気アーケードゲームを含む多彩なゲームタイトルも早期に提供され、ゲームファンを惹きつけました。初年度には10万台以上が販売され、大ヒットを記録しましたが、その後の競合作品の登場により、1984年には市場から撤退してしまいます。M5は「和製Apple II」とも称され、熱心なホビーユーザーたちからも支持を受けました。

ハードウェア仕様

M5は基本的な設計が後のMSXやセガのSC-3000に類似しており、ハードウェアに関する技術情報は公にされ、ユーザーが独自に改良することが可能でした。使用されているCPUは、当時標準的なZ80（3.58MHz）であり、割り込み処理に優れたZ80 CTCを搭載。VDPとしてテキサス・インスツルメンツ社のTMS9918Aを採用しており、256×192ドットの16色表示とスプライト描画が可能です。

音源にはSN76489を使用し、独特の3チャネル音声出力が実現されています。全体のRAM容量は4KBで、V-RAMは16KBを持ち、必要に応じて外部でのRAM増設も可能でした。また、カートリッジスロットを備え、周辺機器との接続にも対応。これにより多様なソフトウェアや拡張装置が利用可能でした。

BASIC言語と簡易言語

M5はBASIC言語を内蔵せず、カートリッジを介して提供されました。主に3種類のBASICがあり、特にグラフィックや音楽機能に対応したゲーム向けのBASICが注目されます。また、簡易言語であるFALCも利用可能で、Excelやデータベース操作に使える機能がありました。

シリーズ展開

M5には数多くのバリエーションがあり、スタンダードモデルの他、カラーリングやRAM、ROMの容量が異なるモデルが展開されました。タカラからもゲームパソコンという名称で販売された製品があり、消費者のニーズに応じた価格帯で登場しました。これにより、より多くの人々が手に入れやすくなり、パソコンがより身近な存在となるきっかけを作りました。

このように、M5は家庭用パソコンの発展において重要な役割を果たしました。数量的にも満足できる販売成績を残しましたが、新たな競合製品の登場により早期にその歴史を閉じました。しかし、未だ多くのユーザーにとって記憶に残る製品であり、多様なゲームやプログラムを通じてユーザーの想像力と創造性を引き出す重要な存在であり続けました。

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