MG 15 機関銃

MG15機関銃：航空機から地上戦へ

MG15機関銃（Maschinengewehr MG 15）は、1930年代初頭にドイツのラインメタル社によって開発された航空機搭載用の旋回機関銃です。当初は航空機の自衛用として設計されましたが、第二次世界大戦の戦局の変化に伴い、地上戦でも使用されることとなりました。

開発の背景

MG15は、スイスのMG30機関銃をベースに、ルイス・シュタンゲによって改良されました。MG30で採用されたボルト後部のラグに回転式カムを噛み込ませるロッキング機構をさらに発展させ、モジュール構造により多様な付属品の着脱を容易にする設計が取り入れられました。

最大の特徴は、75発入りのドラムマガジン「Doppeltrommel 15（DT-15）」です。このマガジンは銃の左右に跨るように装着され、サドルドラムと呼ばれていました。サドルドラムは、バラ弾を装填しゼンマイ動力で給弾する方式で、地上であらかじめ装弾しておく必要がありました。交換に要する時間は約6秒と迅速であり、航空戦における利便性を高めていました。

構造と特徴

MG15は、毎分1,000発以上の高い発射速度を持っていました。航空機関銃として使用する際は、排莢口に薬莢受けを取り付け、空薬莢が機内に散らばるのを防ぐ工夫が凝らされていました。地上戦で使用する際には、MG13用の25発入りバナナ型マガジンも使用可能でした。

安全装置はリング状で、S（Sicherheit：安全）とF（Feuer：射撃）を切り替えることができました。ボルトハンドルは射撃時に前後に往復するオープンボルト方式を採用していました。トリガーガードは、手袋を着用した状態でも操作しやすいように大きめに設計されていました。

第二次世界大戦における運用

MG15は、再軍備を開始したドイツ空軍で1932年に採用され、幅広い航空機に搭載されました。しかし、第二次世界大戦が始まると、MG15は旧式化し始めます。1940年代後半には、より強力な7.92mm MG81、MG81Z、13mm MG131機関銃、あるいは20mm MG151/20機関砲に更新されていきました。

余剰となったMG15は、地上部隊へと転用されました。1943年末には、地上戦転用キット「Zusatzgerät 15 (ZG 15)」が開発され、二脚、バレルジャケット、金属製パイプストックなどの部品が追加されました。これにより、MG15は空軍地上部隊や降下猟兵の装備として使用されることとなりました。また、三脚に搭載して対空機銃としても使用されました。

しかし、元々が航空機用であったため、地上戦での使用にはいくつかの問題点がありました。全長が長く、75発入りサドル型ドラムマガジンが嵩張る、高い作動速度での連射しかできない、機関部がデリケートであるなどの理由から、地上部隊からの評判は芳しくありませんでした。

日本での展開

MG15は、日本でもライセンス生産が行われました。陸軍の九八式旋回機関銃、海軍の一式旋回機銃として、可動銃座に取り付けて使用されました。また、戦車用の試製四式車載重機関銃のベースにもなっています。

ベルクマンMG15との混同

MG15という名称は、第一次世界大戦で使用されたベルクマンMG15機関銃と共通していますが、両者の設計に関連性はありません。ベルクマンMG15は先端ロッキング方式を採用していましたが、ラインメタルMG15はゾロターン式の回転式ボルト/ロッキング方式を使用していました。

関連項目

ラインメタル
航空機関砲
MG17機関銃
MG81機関銃
* MG131機関銃

もう一度検索