MICA (ミサイル)

MICA (ミカ)

MICA（ミカ）は、フランスのMBDA社が開発・製造する空対空ミサイルです。その名称は、フランス語の「Missile d'Interception, de Combat et d'Autodéfense（要撃、戦闘および自衛用ミサイル）」の頭文字を取ったアクロニムに由来します。

概要

MICAは、既存のシュペル530およびマジックの後継として開発されました。空対空ミサイル型として、アクティブ・レーダー・ホーミング（ARH）誘導のMICA EM（MICA RF）と、赤外線画像（IIR）誘導のMICA IRが存在します。さらに、垂直発射システム（VLS）に対応したVL MICAおよびVL MICA NAVALも開発されています。

MICA EMの「EM」はélectromagnétiques（電磁波）に、MICA RFの「RF」はRadio Frequency（無線周波数）に由来し、それぞれアクティブ・レーダー・ホーミング（ARH）誘導方式を表しています。一方、MICA IRの「IR」はimagerie infrarouge（赤外線画像）に由来し、赤外線画像（IIR）誘導方式であることを示しています。MICA EM/IRはシーカー部分のみが異なり、シーカーの交換によって互換性を持たせることが可能です。

MICAは、ファイア・アンド・フォーゲット機能を備えており、発射後の目標選定や母機との連携による中間指令誘導が可能です。また、ミサイル自体が自律的に目標を決定することもできます。IR型のシーカーは、赤外線捜索追尾システム（IRST）のように使用することも可能です。

共通の弾体を使用することで整備性が向上しており、アメリカ製のAIM-120 AMRAAMと比較して小型であるため、搭載場所を選ばないという利点があります。しかし、格闘戦用ミサイルとしては大型であるため機動性に劣り、中距離ミサイルとしては推進燃料の不足から射程が短いという課題も抱えています。

開発と運用

MICAの開発は1980年代半ばに開始され、1997年から引き渡しが開始されました。フランスよりも先に、台湾がミラージュ2000-5の装備としてMICAを受領し、フランス空軍が採用したのは1999年でした。現在では、ラファールおよびミラージュ2000-5の主要な空対空ミサイルとなっています。

VL MICA

VL MICAおよびVL MICA NAVALは、MICAを転用した垂直発射型対空ミサイルです。射程は12kmと短いものの、30,000ftまでの高度に到達可能です。地対空型のVL MICAは、4発のミサイルを収納したランチャーで運用され、6秒間隔で発射できます。

MICA NG

2018年7月には、既存のMICAの後継となるMICA NGの開発が発表されました。2026年から2031年の間に配備される予定で、電波ホーミングと赤外線ホーミングの両方が開発されます。赤外線シーカーには、より高感度なマトリックスセンサが使用され、電波シーカーにはAESA（アクティブ電子走査アレイ）が採用されます。電子部品の削減により推進剤の搭載量を増加させ、ミサイルの射程を拡大します。また、新しいダブルパルスロケットモーターを採用し、飛行終端付近でのミサイルのエネルギーを高めることで、操作性や遠距離での目標迎撃能力を向上させます。内部センサーの追加により、寿命期間中の武器の状態を監視することが可能になり、メンテナンスコストを削減できると見込まれています。

運用国

エジプト
フランス
ギリシャ
インド
カタール
カタール海軍：ムシェリブ級哨戒艦にVL MICAを搭載（2023年時点）
カタール空軍：MICA RFを保有（2023年時点）
中華民国（台湾）
アラブ首長国連邦

外部リンク

MBDA - MICA
MBDA - VL MICA
MBDA - VL MICA NAVAL
フランス国防調達局
Army-Technology

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