MODERN TIME

アルバム『MODERN TIME』の概要

『MODERN TIME』は、日本のシンガーソングライター吉川晃司の4枚目のオリジナルアルバムで、1986年2月21日にSMSレコードからリリースされました。前作『INNOCENT SKY』から約1年のブランクを経ての新作であり、プロデュースを引き続き渡辺プロダクションの木崎賢治が担当しました。また、制作には梅鉢康弘も参加しています。なかでも、作詞には安藤秀樹、作曲には原田真二や中島文明、佐藤健、安藤が名を連ね、全10曲中3曲が吉川自身による作詞、4曲が作曲となっています。

背景と制作

1985年には「85 JAPAN TOUR」と銘打ったコンサートツアーを開催し、63公演を敢行。吉川は多忙な日々を送りながらも、シングル「にくまれそうなNEWフェイス」と「RAIN-DANCEがきこえる」をリリースしました。

アルバム制作は1985年秋にスタート。吉川はスタジオと自宅を頻繁に行き来し、時にはスタジオに宿泊しながらレコーディングに励みました。彼は本作を「アーバンをテーマにした」とし、「やっと魂が摩天楼に漂着した」と表現しました。特に『サイケデリックHIP』はエレクトロニック・ボディ・ミュージックの初期を形作る楽曲となりました。

また、BOØWYのギタリスト布袋寅泰を起用し、彼との出会いや音楽的な相互作用が本作に与えた影響は大きいです。布袋は吉川による音楽スタイルには独特の色合いを加え、その後の音楽シーンにも影響を与えることになります。

リリースとチャート成績

『MODERN TIME』はアルバムリリース後、オリコンアルバムチャートにおいて初登場第1位を獲得。これにより、吉川は三作連続での初登場1位記録を達成しました。さらに、本作からのシングル「キャンドルの瞳」は映画『テイク・イット・イージー』の主題歌としても知られています。他にも「MODERN TIME」や「NERVOUS VENUS」がシングルとしてリリースされ、アルバムは大いに評価されました。

批評と評価

音楽批評家たちからも高評価を得た本作。特に、全10曲のうち4曲が吉川自身の作品であることが意欲的とされ、最新のコンピュータサウンドを取り入れた点が評価されました。また、吉川が自作自演を行ったことは当時の音楽シーンにとって大きな出来事であり、彼の哲学やスタンスが色濃く反映されています。

まとめ

『MODERN TIME』は、吉川晃司の音楽人生における重要な転機を示す作品です。彼の新たな方向性を模索する姿勢や、先進的な音楽スタイルは、後のアーティストたちにも多大な影響を与えています。彼自身が「一番か二番に好きなアルバム」と語るこの作品は、アーティストとしての確固たる足場を築く礎ともいえるでしょう。

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