MQ-25 (航空機)

MQ-25 スティングレイの概要

MQ-25 スティングレイ（Boeing MQ-25 Stingray）は、アメリカ合衆国のボーイング社が開発している無人空中給油機であり、アメリカ海軍に向けたプロジェクトです。この機体は2019年9月に初飛行を成功させ、現在開発が進められています。特に、空母からの運用を視野に入れて設計されており、F-35CやF/A-18E/F、E-2Dなどの艦載機への空中給油を主な任務としています。実戦配備されると、アメリカ海軍において初めての空母搭載無人航空機となります。

開発の経緯

背景

アメリカ海軍は2016年に退役したS-3B対潜哨戒機による空中給油任務の後、専用の空中給油機を失いました。そのため、F/A-18に空中給油ポッドを搭載し、任務を遂行していましたが、本来の戦闘任務が制限されてしまっていました。この状況を解決するため、アメリカ海軍は他の代替手段を探る必要があったのです。

MQ-25の前身であるUCLASS（無人艦上監視及び打撃機）計画では、X-47無人戦闘攻撃機が開発されていました。この機体は、当初高い攻撃能力を持つよう設計されていましたが、2012年には対テロ作戦などの低強度紛争に重点を置く方向にシフトしました。この結果、UCLASS計画は2016年に中止され、アメリカ海軍は無人航空機を活用した低コストでの空中給油を目指すことが決定されました。こうして開始されたのが「艦上空中給油システム（CBARS）」という新たな計画です。

開発企業の選定

2017年10月、アメリカ海軍はMQ-25の提案要求書（RFP）を発行しました。ロッキード・マーティン、ボーイング、ノースロップ・グラマン、ゼネラル・アトミックスの4社が候補となりましたが、ノースロップ・グラマンが撤退したため、最終的にボーイングが2018年8月に契約を獲得しました。総額130億ドルで72機を納入する予定です。

開発進捗

2019年9月には初号機が初飛行に成功し、2021年にはF/A-18E/FやE-2D、F-35Cへの空中給油試験も無事成功を収めました。2021年12月には空母ジョージ・H・W・ブッシュにおける初期運用試験も完了し、カタパルト適合試験や甲板上での確認が行われました。

機体の特徴

MQ-25のデザインはRQ-4無人偵察機に似ており、V字尾翼や単発のエンジン、上面に位置する吸気孔が特徴です。しかし、RQ-4に比べてサイズは小さく、空母での運用に適した折り畳み機構を備えています。

機体には2つのハードポイントがあり、ここには空中給油ポッドや増槽が装着可能です。ステルス性も考慮されていますが、X-47ほどの高度な性能は求められておらず、実際の任務の際にはポッドを搭載するためその能力が制限されます。搭載されるエンジンはロールス・ロイスのAE3007Nターボファンエンジンで、信頼性のあるエンジンです。

採用状況

2023年度、アメリカ海軍はNDAAに基づきMQ-25Aを4機調達することを公開し、調達コストは6.9億ドルとされています。MQ-25は今後の空母艦載機の運用に大きな影響を与えると期待されています。

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