MU-2

MU-2: 日本初のビジネス飛行機

MU-2は、三菱重工業によって製造された多目的小型ビジネス飛行機であり、双発のプロペラ機として日本初のビジネス機という位置付けを持っています。1963年（昭和38年）に初飛行を実現し、その後多くの国へ輸出されました。

計画の背景と設計プロセス

MU-2の企画は、1960年（昭和35年）頃、三菱重工業から多くの技術者を派遣されていた日本航空機製造がYS-11の開発に取り組む中で始まりました。三菱重工業は、戦前の自信を回復しつつあり、新たな技術を活用してビジネス機の開発に着手しました。池田研爾課長がアメリカで目にした小型ビジネス機に影響を受け、日本国内での需要に応じながら独自の設計を進めることになりました。

設計は軍民両用をコンセプトとしており、特に海外市場での販売を視野に入れていました。独自性を保つため、欧米機の単なる模倣には終わらせず、基礎技術を除いてほとんど全てを自社開発しました。戦前の軍用機設計図を活用し、熱心に勉強を重ねた若手技術者たちがその中心となりました。

試作機と量産化の流れ

1963年9月14日に試作1号機（JA8620）が初飛行を果たしたものの、いくつかの不具合が明らかとなり、量産化には課題が残りました。しかし、1965年2月19日にはMU-2Aが運輸省の型式証明を取得。アメリカ向けにはエンジンをガレットに変更してMU-2Bとしての型式証明をも得ました。1966年に商業的な販売が開始され、航空ショーでの出品やデモフライトを通じて高い注目を集めました。

アメリカ市場での挑戦

MU-2は北米向けに販売されることになりましたが、販売ネットワークを持たない三菱は、ムーニー社に委託して販売とアフターサービスを提供することにしました。しかし、ムーニー社が経理上の問題を抱え、急速に経営難に陥ることになります。これを受けて三菱はサンアンジェロ市に現地法人を設立しましたが、売上は思わしくなく、MU-2の販売には厳しい時期が続きました。

対策として、米国の人材を採用し、販売努力を続けました。MU-2は、時間をかけて安定した飛行機としての評判を広げ、年産は40機から50機に達しました。しかし、ベトナム戦争による米国の財政赤字拡大やドル・ショックなど、経済の変動が影響し、MU-2もコストダウンを迫られる事態となりました。それでも、1972年には月産6機を維持し、販売は好調でした。

生産の最終段階

1973年の中東戦争によるオイルショックは、航空機市場に大きな打撃を与えました。これにより、MU-2の受注が急激に減少し、再び市販モデルの販売に直面します。1987年に生産を終了することが決定されましたが、その時点までに762機が生産されました。MU-2は多くの国で評価され、特に北米市場で成功を収めました。

機体性能

MU-2は、最大速度571km/h、航続距離は2780kmという性能を持ち、与圧に有利な円筒断面の胴体や流線型の翼など、先進的な設計が特徴です。エンジンには、当時の技術の先端をいくターボプロップエンジンが搭載され、飛行性能が大きく向上しました。

その他の運用

陸上自衛隊、航空自衛隊など日本国内の各隊でも運用され、特に』MU-2S』は救難捜索機として活躍しました。数多くの演出に登場し、航空機としての名声を高め、その後の多くの国で取り入れられることになりました。今なお、多くの支持を受けています。

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